助けよう
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み、腰に装着している彼女は、リゲルの目を真っすぐに見つめた。
「あの中に、人がいるんですか?」
「人と言っても、マスターよ? 貴女もサーヴァント……参加者なら、奴を始末するほうが都合がいいでしょ?」
「それでも、助けようよ」
その声は、友奈。
可奈美を支える彼女は、髪留めが千切られており、大きく乱れていて、一見別人にも見える。
「わたしは、助けたい! アカネちゃんを……あの子を助けないと、アンチ君だって悲しむよ!」
「アンチくんって……」
ハルトは、戦場となっている駅ビルと離れた駅改札口付近を見返す。
ハルトの指示を守り、こちらを見守っているアンチの姿がそこにはあった。
その視線に気付いた友奈も、アンチの姿を捉える。
「わたしもッ! 伸ばせる手を伸ばさなかったら、後で絶対に後悔するッ! だから、生きるのを諦めさせたくないッ!」
響も賛同する。
リゲルは、更に顔を歪めた。
「ランサー。貴女の強さは知ってるわ。でも、奴はそれ以上に強い。それこそ、ラ・ムーにも負けるとも劣らないほどに。今ざっとここにいる人たちのデータを収集したし、そもそもムー大陸での件でアンタたちのスペックは大体分かってるわ。それでも、全員が協力したとしても、アイツに勝てる可能性はまだ少ない。もう一度言うけど、ただ倒すだけでも奇跡でもないといけないのに、さらに救出になると、余計に可能性が下がるわよ」
だが、ハルトはそれでも頷いた。
ハルトだけではない。可奈美たちや真司も、当然という顔を浮かべていた。
「きひひっ……とんだお人よしが揃っているようですわね」
嘲笑交じりに、狂三がほほ笑んだ。
「ええ、ええ。ガンナー。貴女の意見は間違っていませんわ。何一つ。ただ、倒すにしろ助けるにしろ、全員の同意がないと難しいでしょうね」
「……」
リゲルは大きくため息を付く。
「ここで私一人が反対してもイリスには勝てないし……いいわよ」
「リゲル……!」
「ただし!」
ハルトが感謝を示すよりも先に、リゲルの砲台がその顔に向けられた。
「助けられないと判断したら、容赦しないこと。いいわね?」
「ああ。それでいい。俺たちも、全力で助けるから。ね」
ハルトは、可奈美達に振り替える。
すでに祭祀礼装、満開、絶唱という切り札を使い果たした三人。それぞれ通常の戦闘形態しか戦えず、さらにキャスターの心強い援護も期待できない。
それでも答えは変わらない。
「アンタたち……本当に、底抜けのお人よしばかりね」
「仕方ありませんわね? そうでもなければ、聖杯戦争を止めるなんて馬鹿げた発想になりませんもの」
狂三の一言に、リゲルは観念したように天を仰いだ。
そして。
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