助けよう
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ばす。
音速の九倍の速度で、イリスの触手が、リゲルがいた空間を引き裂いていた。
予測できなかったリゲルは、青ざめた表情をしており、ハルトは息を吐いた。
「助けてくれてありがとう。一応これで、今の借りを返したってことでいいかな?」
「……ええ」
リゲルは不機嫌そうに頷いた。
「でも、あまり長々と話している暇はなさそうよ」
リゲルの忠告通り、イリスは、新たな乱入者を見定めて、触手より超音波メスを放っている。
「また来た!」
「大丈夫です! 蒼井が守ります!」
ハルトとリゲルの前に、えりかが立つ。
六つの機械を展開し、盾となるそれは、イリスの超音波メスを安定して受けることが出来た。
だが、えりかの防御圏外にいる可奈美、響、友奈を守る者はいない。
「写シ!」
可奈美が大急ぎで千鳥を抜き、体を白い霊体に包み込む。
彼女特有の異常な動体視力が、音速で走る光線を斬り落としていく。
「可奈美ちゃん!」
「大丈夫……うっ!」
だが、彼女の疲労は、可奈美の能力を大きく引き落としていた。
数回の防御ののち、可奈美の肩を超音波メスが貫く。膝を折った可奈美を庇おうと、ハルトは急いだ。
だが、イリスの攻撃の方が速い。
凄まじい高音を持つそれ。
だが。
「刻々帝 七の弾」
イリスの二本の触手に、その銃弾が命中した。
すると、触手の動きが見てわかるほどに遅くなる。発射された音速の光線も、可奈美が響と友奈に助け出されるほどの速度に低下している。
「今のは……」
その力は、強烈にハルトの脳裏に刻み込まれている。
その正体は……
「きひひっ……! 何やら楽しそうなパーティですわね?」
上のフロアからよく響く声を発するその女性。
オレンジのドレスを着こなす彼女は、それぞれ長さの異なる銃を肩に乗せながら続けた。
「わたくしも、混ぜてくださいませ?」
「お前は……!」
「狂三ちゃん!」
可奈美がその名を叫ぶ。
一度は聖杯戦争より脱落した、アヴェンジャーのマスターが再契約したフォーリナーのサーヴァント。
彼女は口を吊り上げながら、手すりに寄りかかる。
「きひひひひっ! あらあら。見覚えのある顔がちらほらと……」
だが、そんな彼女の声は、イリスの物理攻撃に阻まれる。
無数の触手を一度に叩きつけたが、それよりも先に狂三は加速、攻撃を回避し、可奈美の前に降り立った。
「お久しぶりですわ。セイヴァーのマスター……」
「狂三ちゃん!」
だが、狂気を表にする狂三へ、響と友奈に支えられる可奈美が呼びかけた。
狂三は可奈美、そして彼女の右腕を支える響へ視線をやる。
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