第2部
ダーマ
シーラの転職・前編(ナギ視点)
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慌てたようにオレのあとをついてくる。
よし、これなら大僧正にも気づかれずに……。
「おい、ちょっと待て!!」
「!?」
突然言い放った門番の言葉に、オレは後ろから胸を刺されるような衝撃を受けた。恐る恐る後ろを振り向くと、門番はシーラの方をじっと見つめている。
ヤバい、バレたか!?
オレは肝が冷える思いで門番の次の言葉を待った。目の前にいるシーラも怯えるように彼の方に目を向けている。
「そこの君……。そう、君だよ。君は、女性なのかい?」
「はっ、はい!!」
聞いたことのないような裏声で返事をするシーラ。
「その頭……。なにか事情があるみたいだが、帽子か何かで隠した方がいい。ここには我らのように平等に接する者以外の人達もいるからな。好奇の目にさらされたくなかったら、目立たない方が良い」
「あ……ありがとうございます」
どうやらバレたわけではないようだ。ほっと胸を撫で下ろすと、オレたちは門番に会釈をし、足早にその場から去った。
その間に、シーラは荷物の中にあった皮製の帽子を目深に被った。そしてオレのところに寄ってきて、小声で話しかける。
「もう!ナギちんのせいで無駄に恥ずかしい思いしたじゃない!」
「いや、だって、あえて帽子被らない方が怪しまれないと思ってさ」
「ううっ、これでもしあたしだってバレたらお嫁に行けない〜!」
心底嫌そうな顔でシーラは頭を振った。まあ確かに、この顔で坊主頭ってのはやっぱり無理があるかもしれない。
なんで坊主頭なのかというと、実は前にピラミッドで宝箱を開けたとき、その中の一つに『石のかつら』というアイテムが入っていた。陰険勇者は売れないからと捨てようとしたのだが、お宝に目がないオレはついあいつの目を盗んで掠めてしまった。
まあ、きっと盗まれたことにも気づいていると思うのだが、その後も特に何も言ってこなかったのでこのままオレがずっと持っている。何か使えないかと思っていたが、シーラを変装させることを思い付いたとき、まっさきにこのかつらが思い浮かんだのだ。
早速シーラにこのかつらを被ってもらったら、見事に坊主姿に変身することができた。さすがにその頭でバニーガールは違和感ありまくりだったので、これまたピラミッドで手に入れたマジカルスカートという防具を身に付けさせた。それでも違和感のある姿なのは変わらないのだが、要はシーラだとわからなければいい。これならただの坊主頭の変な女にしか見えないからだ。
ちなみに顔もいつもと違うメイクをしているらしく、まるで別人かというくらいインパクトの強い印象になっている。普段のシーラかと問われれば首をかしげるほどだ。
「ああもう、ノールさんには訳あり女みたいに思われちゃうし、最悪だよ」
「ノールって、さっきの門番か?」
「うん。小さい頃僧侶の呪文を教
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