第2部
ダーマ
シーラの転職・前編(ナギ視点)
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の中のひとつに、一度転職したらたとえ以前同じ職業に就いていたとしても、レベルは一からになると言う話も聞いた。せっかく今まで経験してきたことがリセットされると言う感覚がオレには理解できず、たまらず矢継ぎ早に質問をしたのだが……。
「もう! ナギちんったら質問多すぎ! とにかくあたしは僧侶になるって決めたんだから、これ以上とやかく言わないでよ!」
シーラは機嫌を損ねたのか、最後にオレにそう叩きつけるように言い放つと、自分が泊まっている部屋へと行ってしまった。ナジミの塔で会ってからずっと一緒に旅をしているが、未だにあいつの考えていることはよくわからない。
だが、僧侶に転職したい気持ちはわからなくもない。例えばオレが仲間の中で戦力になっているかと問われたら、すぐに肯定できるほどの自信はない。そしてあいつはオレ以上にそのことを感じているようだ。
確かに、遊び人という職業がいかに戦闘に向いていないのか、あいつと一緒に戦っていればわかる。このまま遊び人としてレベルアップしていても、その体制は変わらないだろう。
そもそもあいつの問題にオレがとやかく言う筋合いはない。わかってはいるのだが、オレより年上の癖にあいつはどこか危なっかしいところがある。このままダーマに向かっていいかと問われると、素直に頷くのは躊躇われた。
「……あー、くそっ!!」
そんな押し問答を脳内で繰り広げること数分。元々考え込むのが苦手なオレは、吐き捨てるように言った。
オレは自分の頭をかきむしると、早足でシーラの部屋の前に向かう。そして扉を叩き様こう言い放った。
「わかったよ。そこまで言うなら付き合ってやるよ!」
半ば投げやりにそう言うと、程なく中から扉が開いた。
「さっすがナギちん♪ あたしが見込んだだけのことはあるよ!」
さっきまでの不機嫌そうな様子とは一変、満面の笑みを見せるシーラ。
「けっ。ホント調子いいよなお前」
「ナギちんならあたしの気持ちわかるかなと思って。んじゃあ、明日の朝にでも出発しようよ☆」
「はいはい、わかりましたよ」
何でオレがこいつの保護者みたいな役回りになってるんだ? オレの方が年下なのに。
ああ、やっぱりオレにはビビアンちゃんみたいな可憐で大人の魅力を持った子が必要だ。しみじみとそう思うと、オレは深いため息をついたのだった。
次の日。晴れ渡った青空の下、オレたちはバハラタを出発し、順調にダーマへと向かっていた。
遊び人と盗賊の二人旅という無謀な挑戦にも拘わらずここまで無事に旅を続けられているのも、レベルアップしたオレの頑張りに他ならない。シーラは相変わらず戦闘中に遊びまくるし、たまに味方であるオレにダメージを与えやがったりするが、オレは持ち前の体力と運のよさでなんとか難を逃れている。ただ、一瞬陰険勇者
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