第一章
[2]次話
ブロイラーも馬鹿に出来ない
真弓真央は食事に五月蠅い、それで自分が作る料理はいつも出来るだけ美味いものにしようとしている。
丸いはっきりした目に四角い感じの顔で口元はきりっとしている、やや茶色がかった髪の毛を肩まで伸ばしており一六〇程の背で肉付きのいい感じである。
いつもスーパーのパートの帰りに食材を選んで買って作っているが。
夫の崇、長方形の顔で穏やかな小さく丸い目と確かな形の鼻で黒く短い髪の毛を持っている一八〇を超える痩せた身体の彼は妻に言っていた。
「いつも思うけれどお料理美味しいね」
「ええ、美味しくて栄養があるものを食べないとね」
妻は夫に笑って話した。
「身体にも心にもよくないでしょ」
「それでなんだ」
「いつも凝ってるのよ」
料理はというのだ。
「出来るだけね」
「時間もかけて」
「作ってるのよ、今日はね」
「鱈のムニエルとほうれん草のオリーブ炒めとね」
「玉葱とベーコン、それに浅利のスープだけれど」
「時間もだね」
「かけたのよ」
まさに出来るだけというのだ。
「そうしたのよ」
「そうなんだね」
「これからもそうしていくから、そして」
二人の娘の唯、まだ四歳の彼女も観て話した。
「この娘にもね」
「美味しいものをだね」
「食べさせていくわね」
こう言ってだ、真央は料理を作っていった。
真央は経済的そして栄養的な理由で鶏肉を特によく使っていたが。
パートが終わって店で鶏肉を買う時にだ、丁度鶏肉のコーナーで肉を出していた同僚の樋口礼奈細面で黒髪を後ろで束ねた小さな優しい目をした小柄な彼女に笑顔で言った。
「昔はブロイラーってね」
「安いだけで、よね」
「大したことのないお肉だってね」
その様にとだ、真央は礼奈に話した。
「思ってたけれど」
「違うでしょ」
「ええ、栄養はあるし」
「鶏肉だしね」
「蛋白質が多くてね」
それでというのだ。
「いいし」
「それで調理次第でね」
「凄く美味しくなるわね」
「そうでしょ」
「ええ、よく大量生産のお肉って言われるけれど」
「工場みたいだってね」
そこで生産される様なというのだ。
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