怪獣じゃない
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したムーンキャンサーは、触手で横から薙ぎ払う。
蒼井えりかの能力であるバリアは機械の六つのパーツを弾き飛ばし、全ての防御を消滅させた。
そして放たれるのは、超音波メスなど比べものにならない威力を誇る、プラズマ火球。
「もう一度っ!」
「俺も手伝う!」
『ディフェンド プリーズ』
大急ぎで盾を回収した蒼井えりかに続いて、ウィザードが防御の魔法を展開。六角形の防御の奥で発生した魔法陣を大きくし、龍騎とえりか、そして倒れている友奈、可奈美、響まで包み込む。
だが。
プラズマ火球の威力は絶大。
中途半端な蒼井えりかの防御とウィザードの魔法陣。両方を一度に破壊し___龍騎はすさかずガードベントでみんなの前に立つ___、参加者たちを炎の波に包み込んでいく。
「うわあああああああああああああっ!」
響き渡る全員の悲鳴。
龍騎とウィザードも変身を解除され、生身となって友奈たちとともに吹き飛ばされる。
「ぐはっ……!」
真司は血を吐きながら、背中にめり込んだ瓦礫を退ける。
だが、イリスはすでに真司達へトドメを刺そうと顔を近づけてくる。
友奈も、ハルトも。可奈美も響も、蒼井えりかでさえも、今は動ける状態ではない。
その時。
「……ムーンキャンサー……」
その小声。
声量としてはとるにたらないもの。だがその声には、並々ならぬ感情が含まれていた。
「しまった……!」
ホーム全体を見渡せるその踊り場に、アカネの姿があった。遮蔽物など何もないその場で、アカネはイリスの巨体を見上げている。
うるさい敵を片付けたイリスも、足元にいるアカネを見下ろす。腰を曲げ、アカネが胸の位置になるまで体を下げた。
やがて、その体に埋め込まれた発光器官がオレンジ色の光を灯し出していく。
暖かくも冷たいその光は、アカネを、そして真司たちの目を奪う。
「アカネちゃん!」
真司は手を伸ばす。
だが、大して接点のない敵の、ましてや死にかけの声など彼女に届くはずもない。
「ムーンキャンサー……」
アカネが小さく、その名を呟く。
もう、手で触れられるほど、彼女とイリスの距離は近づいている。
そして。
イリスの胸元の水晶のような器官が発光する。
オレンジ色の光が駅の炎を掻き消し、世界全てをオレンジに染め上げていく。
オレンジはやがて、青く変化していく。
アカネの姿が青に照らされると同時に、イリスの腹が開かれた。オレンジ色の花がイリスの腹部に現れた、と錯覚すると同時に、それは周囲の空気ごとアカネを吸い込んでいく。
その変貌には、アカネさえも驚き、恐怖を見せる。
「やめろおおおおおおおおお!」
そう叫ぶのはアンチ。
怪獣
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