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レーヴァティン
第二百六十三話 全ての話を整えその六

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「そうしてた筈や」
「モスクワに入る前からか」
「昔からああした奴やったそうやしな」
「ジョージアにいた時からか」
「スターリンと知り合う前からな」
「彼は少年期からでしたね」
 良太も嫌そうに話した。
「狡猾で自分の手を汚さず人を煽動し」
「盗みを働かせたりだな」
「自分の手柄をあげたりしていました」
「何でも教師の採点が入った鞄を同級生に盗ませ」
「それを見付けたとして」
 そうしてであったというのだ。
「先生に差し出してです」
「自分の手柄にしていた」
「自分が盗ませたのにです」
「少年時代からそうだったな」
「非常に狡猾でかつ倫理観のない」
「手段を選ばない奴だったな」
「こうした少年が成長すればどうなるか」
 良太は忌々し気に話した。
「答えは出ています」
「ああなるな」
「ですからジョージアでもです」
「悪事を為していたな」
「秘密警察を率いてそちらの仕事をしつつ」
 そのうえでというのだ。
「女性を次々とです」
「毒牙にかけていてか」
「幼女まで、そして時にはです」
「殺していたな」
「そしてその悪事は知る人はです」
「知っていたか」
「調べて」
 彼の前の秘密警察長官であったニコライ=エジェフはベリヤ本人に逮捕すると言ったという、それは彼が人民の敵ではなく純粋に犯罪者であると突き止めたからではないだろうか。
「その筈でスターリンもです」
「知っていたな」
「しかしです」
「スターリンは用いていたな」
「ベリヤの能力を見て」
「その役割もだな」
「国家の統制もっと言えば彼の権力維持にです」
 スターリンの独裁者としてのそれにだ。
「必要であったので」
「用いていたな」
「そうしていました」
「おぞましい話だな」
「性犯罪者のシリアルキラーが治安のトップでしたから」
「そんなことはあってはならないな」
「ベリヤは間違いなく異常者です」
 良太は断言した。
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