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レーヴァティン
第二百六十三話 全ての話を整えその三

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「速いならぜよ」
「それに越したことはないな」
「ただしのう」
 ここで当季は右目を瞑ってこうも言った。
「仕事が遅いモンに急かすとのう」
「駄目だな」
「その人それぞれの速さがあるぜよ」
「だからだな」
「確実第一にしてぜよ」
 そのうえでというのだ。
「やってもらうことぜよ」
「それがいいな」
「そうぜよ」
 まさにというのだ。
「わし等にしても速さには個人差があるぜよ」
「皆速いがな」
「だから言わないことぜよ、ただのう」
「何だ」
「幾ら仕事が確実で速くてものう」
 当季は考える顔でこうも言った。
「屑、外道はぜよ」
「用いないことだな」
「それが有能な働き者でもぜよ」
 その分野で優れた才能を発揮しかつ勤勉でもというのだ。
「駄目ぜよ」
「サイコ殺人鬼や虚言壁の塊みたいな奴はな」
「ベリヤなんてぜよ」
 ソ連の秘密警察の長官でありスターリンの懐刀であったこの輩はというのだ、その悪名は彼等も知っている。
「間違ってもぜよ」
「幾ら有能でもな」
「用いるとぜよ」
「害になるな」
「自分の邪魔になるモンは次々と消して」
 謀略を駆使してだ。
「そしてぜよ」
「性犯罪に殺人も犯す」
「あいつは性犯罪者にぜよ」
 権力や睡眠薬を使うことで女性を次々と手籠めにしてきた。
「しかも幼女にまで手を出すぜよ」
「ロリコンだったな」
「いや、どうもペドフィリアと言うべきみたいぜよ」
 ベリヤの場合はというのだ。
「あいつは」
「そうだったか」
 手を出した幼女を自分の手で激しく殴って殺したりその両親ごとシベリア送りにすることが常だったらしい。
「悪質なロリコンだと思っていたが」
「どうもぜよ」
「ペドか」
「そうみたいぜよ」
「幼女にまで手を出すからな」
 それも嬉々としてだ。
「あいつはな」
「若し東の浮島にいればのう」
「絶対に用いるべきではないな」
「幾ら能力が高くてもぜよ」
「殺すべきだな」
 英雄は言い切った。
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