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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第128話:2人のパフォーマー
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――ウィズとアルドが言う通りなら……――

 地図を眺めつつ颯人はドーナツを一つあっという間に完食し、2個目を取ろうと紙袋の中に手を突っ込んだ。
 のだが、そこにはある筈のドーナツが存在せず空っぽとなっていた。

「……は?」

 一体もう1個は何処に行ってしまったのか? まだ食べていない事は確実だし、店員がちゃんと2個入れるところも確認している。にも拘らずドーナツが片方消えている事に、颯人は思わず紙袋をひっくり返して上下に振ったりして消えたドーナツの行方を捜した。

「ハロ〜!」

 そんな彼の耳元で誰かが陽気な声を上げた。声のする方を見れば、そこには颯人と同年代だろう帽子を被った男……ソラが笑顔で手を振っているのが見えた。ソラの片手にはプレーンシュガーのドーナツが握られている。
 それは颯人が無くしたと思っていたもう一つのドーナツと同じ物。自然と颯人の目が不機嫌を表す様に細まり、ドーナツとソラの顔を交互に見ながら空の紙袋を潰した。

「君が明星 颯人だよね? 僕はソラって言うんだ。よろしくね!」
「挨拶代わりに他人のドーナツ勝手に取るとは、手癖の悪さは聞いてた通りだな?」
「あれ? 僕の事聞いてた?」
「クリスちゃん達から……それに、奏からも聞いてたよ。世話になったらしいな?」

 颯人の口から奏の名前が出た瞬間、ソラの顔が厭らしく歪み手にしたドーナツを齧った。自分が買ったドーナツを食べられていく様を見ながら、颯人は紙袋に続き広げていた地図を仕舞った。

「……で? 何の用だ?」
「用が無いと来ちゃ駄目かな?」
「お前、ジェネシスの幹部だろ? そんな奴が用も無く会いに来れるほど暇なのか?」

 颯人から向けられる冷たい視線。しかしソラは全く気にした様子を見せず、ドーナツを食べ終えると口周りの砂糖を拭った。

「ンフフフフッ! 君とは一度会っておきたくてね。だって君と僕は……よく似てるから」
「はぁ?」

 ソラの言葉に颯人が露骨に顔を顰める。こんな奴と自分、どこがどう似ているんだと言わんばかりの表情だ。

「君、他人を驚かせるのが好きなんでしょ? 僕もなんだ。他人が驚く姿ってすっごく面白いよね! 分かる、凄くよく分かるよ!」

 1人上機嫌に話すソラを、颯人は何時になく冷たい目で見ていた。彼のこんな顔は、奏ですら見た事は無かっただろう。と言うより、奏には絶対に見せたくない。

「……奏の事も、驚かしたいから近付いたってのか? あんなホラ吹いてまで?」
「そうだよ? 奏ちゃん……いいよね〜! あの子が驚いた顔、凄く良かったよ! 特にさ、君が死ぬかもって聞いた瞬間とか最高!!」

 心の底から楽しそうに笑うソラに対し、颯人の顔からはどんどん表情が抜けていく。それに気付いているのかい
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