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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth28神世は楽園・人世は地獄・その境界にて乙女は踊る〜Duell des SchicksalS〜
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それどころか、なんの妨害もなく侵入が出来、こうして昇降機に乗って最上階を目指すことが出来る事に訝しむオリヴィエ。思い起こすのは彼女が生まれた場所、聖王のゆりかご内部の防衛戦力の事。名など無く、ただ聖王のゆりかごに侵入してきた者を排除する陸上歩行兵器。騎士団を配置せずともそう言ったモノが在ってもいい。エテメンアンキは重要な施設なはず。

「そのようなモノが必要ないような絡繰りでもあるのでしょうか・・?」

オリヴィエの疑問は尽きないが、昇降機はひたすら上昇を続ける。上昇を続けること約20分、そろそろ天井が近くなってきた事でオリヴィエは意識を臨戦へと持っていく。そして昇降機は天井を貫く穴を通って階上へと上がり、空き階層で停まった。
オリヴィエが昇降機より降りる。と、昇降機が降下していき、床穴が閉じる。彼女は焦りを見せず、降り立った階層を見回す。直径800mという広範囲の円形空間で、床にも天井にも凹凸らしいモノは何も無い。唯一在るのは、この階層の端っこに設置されている、最上階である玉座の間へと繋がる螺旋階段。

「ようこそいらっしゃいました、オリヴィエ・ゼーゲブレヒト王女殿下」

「っ・・・!」

高さが10mほどある螺旋階段の半ば、テウタは始めからそこに居たようだ。オリヴィエが気付かなかったのは、テウタが段差に腰掛けていたせいで手摺の壁に隠れて見えなかったからだ。立ち上ったテウタは手摺を飛び越えて音も立てずに床に降り立ち、オリヴィエと相対、2人の視線が衝突する。

「お初にお目にかかります。わたくしは――」

「結構です。貴女の事は嫌と言うほど十分に承知しています。テウタ女王陛下。早速ですが、エテメンアンキ及びイリュリア各戦力の戦闘行動すべての停止をお願いします」

オリヴィエはテウタへ飛び掛からんとするのを理性で抑え込み、テウタの自己紹介を遮って本題を切り出す。テウタは嫌な顔一つせずに「出来ません」即答して返す。空き階層に沈黙が下りる。そしてテウタは告げる。

「もうこの戦は言葉だけでは止まりません。お解かりでしょう? すでにそのような生易しい解決で終わらせるには戦火が拡大しすぎている」

壁面すべてに空間モニターがズラリと展開される。映し出されているのは各戦場。収まるどころか激しくなっていく戦場。次から次へと増援が現れ、互いを討ち、数を減らしてもまだ増える。

「っ! それはっ、貴女が天地統治塔(このようなモノ)を持ち出して所為で――」

「そうは仰いますが、考えてみてください。このような規模の戦はいつか起こる必然。ベルカ統一を掲げる国は数知れず。遅いか早いかの違いにすぎませんよ」

「・・・それはそうですが・・・」

押し黙ったオリヴィエを見詰めていたテウタが「では始めましょうか」と気楽に
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