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魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Myth28神世は楽園・人世は地獄・その境界にて乙女は踊る〜Duell des SchicksalS〜
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天地統治塔エテメンアンキ。全高21km・直径4kmの円柱形の巨体さを持ち、その偉容をまざまざとベルカに住まう者すべてに見せつけている。エテメンアンキの本領は、その兵器としての火力にある。エテメンアンキの最上部から放射状に広がる8本の全長1kmとある柱の先端に、水晶のような巨大な砲門が在る。
その砲門より放たれる魔力砲――通称カレドヴルフは、その一撃の下に都市の1つを容易く焦土に化す。それはさながら天に座す神が、罪を犯した人間に対して下す神罰の如く。

しかし今、その偉容も無残なものとなっている。圧倒的にして絶対と謳われていたエテメンアンキも、たった1人の人間の手によって砲門3門が潰され、一撃で都市を破壊するカレドヴルフも防御され続けている。天と地を支配するがための兵器エテメンアンキも、かつて世界を席巻した魔術師部隊“アンスール”の1人には快勝する事が出来なかった。

そのエテメンアンキの外部――エテメンアンキを有する国イリュリア各地で行われている幾多の戦闘の最中、ただひとり戦闘に参加せずにいる少女が居た。
オリヴィエ・ゼーゲブレヒト。今回の戦争に参加している国アウストラシアの王女で、単独戦力では最強クラスの一角を担っている。そんな彼女は今エテメンアンキの入り口の扉を拳打一発で潰し、内部へと侵入していた。

「・・・上階へ上がるにはどうすればいいのでしょう・・・?」

ここに辿り着くまでに浴びてそのままだった頬に付着した返り血を籠手の甲で拭いつつ、オリヴィエはぐるりと辺りを見回した。エテメンアンキの構造は、最上階・玉座の間とその一階下の空き階層以外の階層は吹き抜けとなっており、中央に支柱が一基そびえ立っているというものだ。
真っ白な内壁及び支柱の表面には青く光る光線が縦横無尽にビッシリと走っており、幾何学模様を描いていた。オリヴィエはまず支柱へと歩み寄って行く。外壁を一周するより時間の掛からない支柱を選択し、階上に上がるための手段を調べようとして・・・

「昇降機・・・ですよね・・・?」

オリヴィエは早速見つけた。支柱の壁の窪みに昇降機が1台備え付けられているのを。彼女は昇降機の行く先、頭上を見上げてみる。支柱の天辺、空き階層の床板まで直通である事が見て取れる。

「罠の類の心配がありますが、この際は仕方ありません」

昇降機に乗る事の覚悟を決め、オリヴィエは昇降機に乗った。すると何もせずとも昇降機が動きだし、徐々に高度を、そして速度を上げて上昇していく。上昇している最中、オリヴィエは見る。下へ下へと過ぎていく各階層の断面。そのどれもが居住区らしき施設であり、エテメンアンキがただの兵器ではなく一種の街であるという事が。しかしどの階層も無人。人の気配など一切ない。

「エテメンアンキの内部を護る戦力が無い・・・?」
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