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Fate/WizarDragonknight
怪獣
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ンキャンサー……彼女の第二のサーヴァントである怪獣にゾッコンさ」
「だから……」
「だから助けるのかい? ひたすらに破壊を求める彼女を?」

 霧崎の背後に、雷が鳴る。

「アンチ君……たとえ君が彼女を救ったとしても、彼女が君に感謝することはない……それどころか、むしろ逆上するんじゃないのかい?」
「それは……」

 徐々に落ち込んでいくアンチ。
 だが、ハルトはそんな彼の肩に手を置いた。

「そんなの、君が決めればいいよ」
「お前……!」

 ハルトはそのまま、アンチを背に押し出す。
 霧崎に向かい合ったハルトは、そのまま告げた。

「その子……新条アカネ、だったっけ? アンチ君が助けたいと思えば助ければいいし、その気がないなら、俺が助ける。トレギア、お前がそこで邪魔をする義理なんてどこにもない」
「へえ。悪い怪獣の味方をするのかい? ハルト君」

 月が雲に隠れ、霧崎の姿が影の中に包まれていく。一瞬そのシルエットが、トレギアのものとなった。

「ファントムだなんて化け物を片っ端から退治している君が、そんな人形から作られた怪獣を庇うのかい?」
「……本当の悪意を判別するべきなのは、人間かどうかじゃない。その心がどうかだ」

 そう言いながら、ハルトはこの聖杯戦争で戦ってきた者たちのことを思い出していた。
 人間でありながら、愛憎によって狂い、もう一人の(アナザー)ウィザードとなった我妻由乃。
 怪物として生まれながらも、ハルトと近しい仲になり、ハルトが自ら手を下したクトリ。
 クトリの育ての親であり、人間でありながら世界をアマゾンの世界に作り変えようとしたフラダリ。
 この世界に根強く残る荒魂でありながら、人間との共存を願う少女、コヒメ。

「たとえ人でなくても、悪意がない奴だったら俺は守る。人間でも、悪意があるなら……命は奪わないけど、改めさせる。お前なんかに……誰かの運命を決めさせたりしない!」
「へえ……」

 影となり、彼の蒼い目だけが光る中、霧崎の声はだんだんと消えていった。

「まあいいさ。なら、行ってごらん? 彼女はおそらく、このままムーンキャンサーとの融合を望むだろう。ライダーたちに邪魔されてしまったが、このまま彼女がムーンキャンサーと融合すれば、ムーンキャンサーは完全体となる」
「完全体?」
「そう……アンチ君、君は果たして、新条アカネを助けるべきなのかどうなのか、その時に決めればいいさ」

 その言葉を最後に、月明りがその場を照らす。
 だがすでに、霧崎の姿はどこにもいなくなっていた。
 ハルトは霧崎がいた場所を凝視しながら、アンチを見下ろす。

「……行こう、アンチ君。あの子を助けに行こう」」

 目を吊り上げたままのアンチは、ハルトの言葉
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