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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
GX編
第128話:子の目に映る父の姿
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時に居なくなったのは、お父さんじゃない」
「あ……ははっ、やっぱ無理か。何とかなると思ったんだけどな」
響の説得に失敗したと見るや、洸はおちゃらけた様子でだらしのない笑みを浮かべる。そしてそのまま、駄弁る様に話を続ける洸の姿に響は拳を握り締め立ち上がると黙って席を立ってその場を離れた。
すると今度は突然声に焦りを滲ませ、去っていく響の背に声を掛ける。
「待ってくれ響!?」
流石にこちらが辛そうな姿勢を見せれば、少しは気持ちを理解してもらえると思っていた。しかし――――
「持ち合わせが心許無くてな……」
そう言って洸はレシートを響に見せた。娘に支払いを頼むと言う情けない姿を置く面も無く見せる父の姿に、響は爆発しそうになる心を抑えてレシートを握り締めると足早にその場を去っていった。
それを見送り、洸は背凭れに体重を預けると自嘲する様に笑いながら頭をかいた。
「はぁ〜……」
「情けない男だな。そんな様で父親面をするとは」
「……は?」
突然背後から声を掛けられた。聞き覚えの無い声。だが言葉の内容は明らかに自分に向けてのものであったことに、洸は席を立ち後ろの方を見た。
そこにはテーブル席に1人で座り、手に湯気を立てる紅茶のカップを持った男性が居た。まだ夏だと言うのに、長袖の白いコートを身に纏い頭には同色の帽子を被っている。
「えっと……もしかして今の、俺に言った?」
「お前以外に誰が居る。自分から家族を捨てておきながら、今更全てを無かったことにしようなど……そんな虫のいい話があると思っているのなら、お前にはそもそも父親の資格などない」
男はそうハッキリと告げると、湯気の立つ紅茶を一口啜った。紅茶に温められた息を満足そうに吐き出す男に、流石に黙ってはいられないのか洸は言い返す。
「アンタには関係ないだろ。これは俺達家族の問題だ!」
「家族? その家族を捨てたのはお前の方じゃないのか?」
「それは……」
どうやら男は最初から話を聞いていたらしい。洸が響達家族を捨てて逃げた事も、その後の響に縋る様な姿も全てを見られていた。
洸が言葉に詰まっていると、男は残りの紅茶を飲み干しレシートを手に席を立った。立ち上がると、男は最初の印象よりもずっと大きく感じられ洸は思わず後退る。実際にはそこまで身長差は無いのだが、洸にはその男が自分の倍以上の大きさの人間のように感じられた。
思わず後退り、そのまま席に腰を落としてしまう洸を男は一瞥もせずその場を離れようとした。が、何を思ったのか立ち止まると頭だけを洸の方に向けるようにして背中越しに声を掛けてきた。
「子は父の背を見て育つものだ。お前は、今の情けない自分の姿を娘に見せながら育てたいのか? 娘にお前
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