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銀河日記
後始末と人事異動
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過勤務手当が目当てだったかどうかは、彼しか知らない。

帝都の軍務省に隣接されている、銀河帝国軍事図書館には地球から銀河連邦までの時代の収集された戦史の史料と、五百年の長きに渡る帝国軍史など、非常に膨大な量のデータなどが存在する為、データの整理が付いていないというのがその理由であり、余暇を利用しての閲覧の際に感じた煩わしさが、彼を動かしていた。

だが、彼が行うことはかつて銀河の反対方向にある、バーラト星系の惑星テルヌーゼンにある、自由惑星同盟軍士官学校で、ヤン・ウェンリーとジャン・ロベール・ラップが士官学校校長シドニー・シトレ中将の命令で行った戦史研究科の目録作りよりも、遥かに多大な時間と労力、根気を要するものであった。アルブレヒトは、軍務省に泊まり込んでも、仕事に没頭していた。備え付けのタンクベッドには、相当世話になったものだった。

中佐に昇進し、それと同時に帝都憲兵本部の第三十二武装憲兵大隊長に異動となるまでの月日、約一年半を掛けて、彼は全ての目録を作製し、軍務尚書エーレンベルク元帥に提出した。これは、寝る間も惜しんだ努力の結果であったが、それのせいか、ベアトリクスとの茶会は、当分の間は延期されることとなった。

もっとも、誘われたアルブレヒトは、自分が誘われていたことすら、忘れていたのである。誘った女性は、返答がいつまでも来ないことに、小さな落胆とそれよりも大きな呆れを半々に、日を改めて、再び誘うことを決めた。

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