第四次イゼルローン要塞攻防戦
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形を取り、ベルカ准将の艦隊に砲火を集中させたからである。それでも八割で済んだのは帝国軍中央艦隊の救出があったからであるが。
その打撃を機に帝国艦隊は本格的な後退を開始し、同盟軍艦隊は艦列が乱れた好期を逃すまいと前進を開始した。だが、それ以前からほんの少しずつ後退していた帝国軍の艦列に食らいつこうとした時、同盟軍の先鋒はトゥールハンマーの射程内に足を踏み入れていた。
要塞司令部がそれを確認し、各艦隊司令官が天頂方向への急速退避を命じた。同盟艦隊もそれに倣おうとするが、間に合わず、トゥールハンマーから放たれた光の剣が夜空を裂き、刹那の流星と恒星の天の川を戦場に浮かび上がらせ、同盟軍艦隊の先鋒のほとんどはその剣の新たな錆と化し、多大な打撃を被った。
同盟軍艦艇が今回の攻略作戦に投入した戦力の約一割を失い混乱を見せている内に、トゥールハンマーの第二射が発射され、帝国軍艦隊は反撃を開始、メルカッツ分艦隊も全面攻勢に転じ、敵右翼を確実に押し込んでいた。
それからさらに四日後の八月二八日、九時三〇分、投入兵力三万五千隻の二割を上回る八九五一隻を失った自由惑星同盟軍艦隊は全面撤退を開始。これにより第四次イゼルローン攻防戦は終幕を迎えた。
ビスマルクUの艦橋、いや、そこだけに限らず、帝国軍各艦の艦橋で兵士たちが手に入れた勝利の喜びを分かち合う中、アルブレヒトは一人、終幕を迎えた戦いの跡を艦橋から眺めていた。メルカッツは、副官の様子を、どこか懐かしげに見つめていた。
第四次イゼルローン攻防戦の終結から三週間後の九月二一日、メルカッツ分艦隊を含む帝国軍増援艦隊は、帝都オーディンに約三か月ぶりに帰還した。
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