第四次イゼルローン要塞攻防戦
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警備第三警備艦隊時代、新任士官であったアルブレヒトが当時准将であったライナー・ハンス・ハイデッカー少将に教わり、経験した事である。彼の上官であったハイデッカー少将は、少尉として任官する前の帝国軍士官学校では兵站専攻科の、ある程度優秀な士官候補生であった。だが、大佐時代に参戦した第三次イゼルローン攻防戦の際に搭乗艦であった分艦隊旗艦ハイデルベルクが戦闘中に被弾し、指揮官を含めた司令部が完全な麻痺状態になったのを、先任士官であった彼が事態を収集し、戦線を維持した。その功績により、彼はその攻防戦以後、後方士官よりも実戦指揮官として軍務につくようになったのだ。
帝国歴四七八年八月十日、メルカッツ分艦隊を含めた遠征艦隊はイゼルローン要塞に到着した。メルカッツ分艦隊はイゼルローン要塞左翼側のハッチに麾下の艦艇を収容することになった。これは、戦闘の際、左翼に布陣することを示唆するものである。
「大尉、卿は戦局の展開をどう見る。意見を言ってみたまえ」
両軍の衝突。その時が刻一刻と近づく中、メルカッツが不意に、自分の隣に立つ副官に尋ねた。
「はっ。私見を申し上げますに、先ず、叛乱軍は我々に要塞主砲を打たせない様な戦法を取ると小官は推測いたします。」
「・・そうか、確かに此方の戦術的優位を支えている要素の一つに要塞主砲の存在がある事に代わりは無いな。ならば、敵はどうするべきか」
「司令官閣下。先ず考えられますのは、並行追撃戦法です。敵は過去に三度、このイゼルローン要塞へと攻略部隊を派遣しております」
「うむ。私も過去に二度参加しているが、これまでは敵が要塞主砲の射程限界を読み間違えてその餌食となるなど、尽く失敗している」
「はい。ですがそろそろ、叛乱軍は要塞主砲の射程限界を読んでくるかのではないかと。過去の戦闘データを分析すれば、完全ではないにしろ、ある程度の予測は立てられるはずです。それと、これまでの我が帝国軍のイゼルローン防衛戦における基本戦術は“敵艦隊の要塞主砲射程内への誘因とその撃破”です。そろそろ、それへの明確な対策を講じてくるでしょう。」
「・・成程。並行追撃作戦はそれを逆手に取るものだと、卿は言いたいのだな」
メルカッツは副官の言葉を咀嚼すると、発言者に確認した。それに頷いて、彼はさらに発言を進めた。
「左様です、閣下。これまでの戦闘で、我が軍は要塞主砲の使用時に際して、何れも艦隊を後退させております。それに呼吸を合わせて敵艦隊が食いついてくれば敵味方入り乱れての乱戦状態になり、同士撃ちの危険性が発生するため。要塞主砲が使用不可になるでしょう。その間に敵は要塞の表面に肉薄する事が出来ます。その場合、要塞の一角に無人艦艇を突入させるなどで穴を穿ち強襲揚陸艦を用いた陸戦部隊の投入で内部の制圧を図ることが可能です
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