卒業と任官
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こすような疲労の蓄積も納得がいくというものだ。
その日から彼の激務の日々は続いた。現状を直ちにハイデッカー准将に報告し、帝都の軍務省とその長である軍務尚書エーレンベルク元帥に該当士官の予備役編入と、それに前後した新たな人員の追加を要請させた。しかも、そこに軍管区内部の汚職と言う重しが降りかかってきた。予備役編入要請への該当士官も含んだ基地内の公金横領が発覚し、すぐさま、駐留するモルト大佐指揮の憲兵隊一個連隊との連携捜査でその一掃が行われた。
もっともこの第三警備艦隊の担当区域は、その前任者であるミュッケンベルガー中将、メルカッツ准将によって大規模な殲滅作戦が数度実行されているので、他の区域と比較すれば、遥かに宇宙海賊の数は少なかった。その分、年間を通しての弾薬やエネルギーの消費量も少なく、予算が余っていたのである。退屈な士官達が余った金子に目が眩んでも、余り不思議ではなかった。
その間、アルブレヒトは空白となった艦隊の後方参謀部を実質的に仕切る立場となっていた。人員が彼とツォレルン大佐しかおらず、主任者は予備役編入されて軍病院で病気療養中であり、残された士官は若手の中尉殿とその他56名ほどしかいなかったからである。
それから六カ月後の、帝国歴四七七年七月一日を持って彼は戦術参謀の任と、後方参謀の任を解かれ、大尉に昇進した。また、アルブレヒトの昇進と同時に後方主任参謀ツォレルン“准将”も予備役より復帰し、人員が刷新された後方課を取り仕切ることになった。ハイデッカー准将、モルト大佐もそれぞれ一連の騒動の収束に功ありと申告され、一階級の昇進を果たす事になった。
彼はその後、七月一九日にオーディンに帰還し、その翌日の七月二十日、軍務省人事局に出頭し、人事課長よりメルカッツ分艦隊所属艦隊司令官付副官の役職を任命されたのである。
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