第三十三章 惑星の意思
[15/20]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
まは本当に言葉通りびっくりした顔になっていた。
あくまでも普段と比べればという程度ではあるが、その普段が普段なので格段だ。
「招きを振り払い、しかも自力で戻ってくるだなんて。その魔力の無尽蔵に、あらためてびっくりしました。さすが、救世主になるべく選ばれ転造されただけあります」
「そういわれても、まったく嬉しくないけどね」
ようやく腰を上げたアサキは、まだ荒く息をしながら苦笑いをした。
「油断する子は死にたい子!」
叫び声が聞こえると同時に、無数の小さな槍状の光弾がアサキの背後から刺さり突き抜けていた。
胸から、腹から、ぶつりぶつり、ぶつりぶつりぶつり、細い光の槍が飛び出していた。
背後から、胸や腹だけでなく、首からも、腕、足からも。
8
不意打ちに色をなくした瞳、表情をなくした顔の、赤毛の少女の背後には、巨蜘蛛の姿があった。
こっそり治療して治癒しかけていた巨蜘蛛の身体であるが、またところどころごっそりえぐり取られてとろとろ血が流れ出ている。
魔閃塊を使い、アサキを攻撃したのだろう。
自分の身体をちぎって、邪気を含ませて飛ばすという、以前に空飛ぶ悪霊ザーヴェラーが見せた攻撃方法である。超魔法は連発が効かず、通常魔法は破壊エネルギーがすぐに減衰するため、至垂は魔閃塊を使ってアサキを攻撃したのだ。
不意打ちの結果にほくそ笑む至垂、であったが、それはすぐ驚きそして苛立ちへと変わっていた。
そして、舌打ち。
アサキの身体は、そこにはなかったのである。
数歩の横で、まだぜいはあ息を切らせながらもなにごともなく立っていたのである。
まだ疲労困憊の最中であるというのに、またもや幻影魔法で至垂を騙したのだ。
しかも今度は冷静に至垂だけに幻影を見せた。
カズミたちからすると、至垂がいきなり自身の肉片をまるで関係ない方へと飛ばし始めたとしか映らなかっただろう。
それはある種、滑稽な姿であったが、
だけど、
例え滑稽であろうとも、
白い衣装の少女、ヴァイスの、内面に燃える怒りを消すには、なんの意味もないようであった。
「服従? 共闘? 無理ですね。どちらも」
ふんわり白装束の、ブロンド髪の少女は、小柄な身体で小さく二歩、三歩、アサキと至垂との間に割って入った。
いまの言葉は、アサキが生身で至垂と戦った、その思惑の背景についての気持ちであろう。
共闘は無理でもせめて無駄な戦いはしたくない、というアサキの。
「わたしにとって、世界にとって、アサキさんは必要な存在です。……至垂徳柳、あなたの数々の行いは、とても許せるものではない。アサキさんが優しすぎるのならば、ならば代わって、わたしが……」
ヴ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ