六十四 遭遇
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誰かと闘ってます!それにあの黒い炎は…!?」
ふたりの雲隠れの忍びはそこで初めて、キラービーと対峙している敵の容姿に注目した。
赤毛の女、黒髪の青年、そして───。
「あれは…『暁』か!?」
「しかもアレ、もしや『霧隠れの怪人』…!?」
有名である鬼鮫の登場に驚くふたりの前で、仮面の男がいつの間にか、黒髪の青年の隣に佇んでいる。
全員同じ『暁』の証である黒衣かと思いきや、黒髪の青年の羽織の文様に、彼らは着目した。
「あれは…うちはの家紋!?」
治療の為、『暁』の黒衣をアマルが脱がせていた故に、下に着込んでいた着物の文様が露わになっている。うちはの家紋が施された羽織を身に着けている黒髪の青年に注意していた雲隠れの忍び達は、次の瞬間、眼を見張った。
仮面の男と一言二言言葉を交わしたかと思えば、いつの間にか黒髪の青年の姿が掻き消えたのだ。
見間違いか、と眼を擦った彼らは直後、赤毛の女が青年の名を呼ぶ声が僅かに聞こえて確信を得た。
「やはり…うちはの生き残りが『暁』にいると風の噂で聞いてはいたが…」
頷く雲隠れの忍び達だが、彼らは『暁』にいるうちは一族が、うちはイタチなのかうちはサスケなのか判断は下せなかった。
むしろ同一視する程度の情報しか得てはいなかったが、どちらにせよ木ノ葉の抜け忍が自分達の大事な人柱力を追い詰めたのだと歯噛みする。
固唾を飲んで戦闘を見守る中、やがて八尾から人の姿へ戻ったキラービーが焼死体の如く、ぷかりと浮かんだ。
「あ、あのキラービー様が…」
いつも陽気なキラービーが弱々しく横たわり、それを鬼鮫が連れ去ろうとするのを遠目から窺って、雲隠れの忍びの内、若い忍びが腰を浮かせる。
「た、助けに…ッ」
今にも飛び出そうとする若い忍びを、隣の忍びはすぐさま「早まるな」と叱責した。
「奴らは『暁』のメンバー。俺達が行っても無駄死にするだけだ」
「し、しかし…」
「俺達は出しゃばるよりも、すぐに雷影様に報告するほうが賢明だろう」
「…そうですね……くそッ、こんな時にユギトさんがいれば…」
悔しげに唇を噛む若い忍びを、もうひとりの忍びが「仕方ないだろう」と宥める。
「あの人は随分前から消息不明だ───だが、この分じゃユギトも『暁』に連れ去られてる可能性が高いな…」
雲隠れの里における人柱力をふたりも連れ去っただろう憎き『暁』をふたりは睨みつける。
黒地に赤い雲模様、そしてうちはの家紋を目に焼き付けて、雲隠れの忍び達は雷影に報告すべく地を蹴った。
後には、寸前までとは打って変わって静まり返る雲雷峡が穏やかな景色を広げていた。
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