六十四 遭遇
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開眼した報酬だ」
焼死体のようだが辛うじて息があるキラービーを確認した鬼鮫が、そこでやっとザクがいない事実に気づく。
「そういえばもう一人、いたような気がしますが…蛸の餌になっちまいましたかねェ」
鬼鮫の言葉を耳にして、仮面の男は足元に眼を落とす。
ぷかり、と何かが浮かんでいた。
血を流す肉片に、この場で何が起きたのか察して、仮面の男は「そうらしいな」と肩を竦めた。
「どちらにせよ想像以上の成果を出してくれたらしい。サスケを開眼させるとはな」
おそらくサスケの目の前で死んだのだろう。
【万華鏡写輪眼】の開眼条件を知っている仮面の男は、その衝撃的な光景で開眼したのだ、と当たりを付けた。
取るに足らない小者だと見做していたザクがこういう形で役に立つとは、願ってもない。
「サスケにはまだまだ働いてもらわねばな。此処で失うのは惜しい」
「まぁ、これ以上暴れてもらっても困りますからねェ…こんな雷影のお膝元で」
「そういうことだ。八尾を連れてこい。もう此処には用がない」
転がっている鮫肌を拾い上げ、キラービーを背負った鬼鮫は周囲を見渡す。
岩々が砕かれ、雲雷峡の地形が僅かに変わっていた。
ほとんどが八尾の暴れた痕跡だったが、戦闘の爪痕があちこちに色濃く残っている。
雲隠れの忍びが出入りするこんな場所でキラービーの窮地に雷影が駆け付けるのだけは遠慮願いたい。
八尾を連れてさっさと撤退するのが得策だ、とキラービーを背負った鬼鮫が水面を蹴る。
同じく、その後を追った仮面の男の影が一瞬、水辺に映ったが、やがて先ほどと同じように空間が歪み、その影もたちまち消え去ってゆく。
誰もいなくなった水面下。
こぽこぽ、と水泡をあげながら、沈没してゆく蛸足には、仮面の男も鬼鮫も、そうしてこの場を遠くから目撃していた雲隠れの忍び達も気づかなかった。
「…こ、これは…!?」
「キラービー様!?」
荒々しい波音と絶叫に土煙。
その異常事態に雲隠れの忍びが気づくのは火を見るよりも明らかだった。
雲雷峡の近くの岩場に偶々足を運んでいた雲隠れの忍びのふたりが顔を見合わせる。
キラービーが修行しているはずの場所から聞こえてきた轟音。
その中に雑じって聞こえたのは確かに、八尾であるキラービーの苦痛を伴った叫びだった。
すぐさま地を蹴り、異常事態が発生するその場へ急いだふたりの視線の先。
其処では、八尾化したキラービーが黒炎を纏っていた。
「キラービー様…何故、八尾のお姿に…?あれほど雷影様に禁じられていたのに…」
「よく見てください!
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