新入生
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7−新入生
アルブレヒトが、銀河帝国軍士官学校に四七一期生として入学してから早くも二年が流れた。正に“光陰矢のごとし”とアルブレヒトは思った。
彼は、所属する戦略研究科では担当教官の某中佐曰く“可もなく不可も無く。だが、それなりには優秀”と評される成績であるが、一部の教官からは“非常識極まりない”と批判を受ける事があった。その原因は、彼が提出した戦略研究レポートである。そのレポートの内容と彼の言及が、偶々その中身を見た某大佐の癪に障ったのである。
そんな事があっても、落第するわけでもなく、無事、彼は三学年へと進級した。
二年生になって、部屋を移動したが、何故か同居人はまたしてもメックリンガーであった。どのような基準で決めているのかは全く不明だったが、不思議なこともあるものだ、と笑いあった。そして、その年の終わり、メックリンガーは帝国軍少尉に任官し、戦略研究科を首席で卒業していった。まずは、辺境警護の任務に就くとのことだそうだ。
三年になって、アルブレヒトはまた部屋を移動した。三年生となり、今度は自分が下級生の面倒をみる立場となったので、少々緊張していた。
部屋のベルが鳴り、来客を告げると、少し小柄な、くすんだ茶髪とスカイブルーの瞳の、少々小柄な士官候補生が部屋の中に入ってきた。
「申告します。この度、三〇九号室で一年間お世話になります、兵站専攻科一年、ルイス・フィリップ・レンブラントであります」
「ようこそ。三学年、戦略研究科所属のアルブレヒト・ヴェンツェル・フォン・デューラーだ。デューラーで構わない。よろしく、レンブラント」
緊張した様子で申告した新入生に、アルブレヒトは二年前の自分を重ねて苦笑し、そう返した。右手を差し出し、握手を求めた。レンブラントは緊張がまだ解れていないのか、恐る恐る手を取り出して握手をした。
「は、はい。よろしくお願いいたします」
アルブレヒトは、最初帝国ではおおよそ聞かない名前に一瞬疑念を覚えたが、理由をある程度推測、察知することができた。
彼、ルイス・フィリップ・レンブラントは自由惑星同盟から銀河帝国への亡命者である。亡命者の子弟ではない、父と一緒にフェザーンを経由して同盟から帝国へ亡命してきたのだ。
父、シャルル・ウィリアム・レンブラントは、自由惑星同盟評議会の政治家であった。新進気鋭の若手政治家であり、将来への展望、野望もあった。彼は、銀河帝国との長年にわたる戦争によって疲弊した同盟の社会を正しい方向に変革しようと思った。彼は軍需産業を筆頭とした財界と癒着を深めていた政府や官僚組織を批判した。
しかし、妻、クリスティーネ・R(レーゲンスブルク)・レンブラントとの結婚を政争に利用され、“売国奴”“悪の帝国の手先の手に墜ちた愚劣漢”など、でっちあげられた不祥事(スキャン
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