小さな意志
[5/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
それをあろう事か、それは事実だとほざいたのだ。
いや、それ自体もまだ良かった方の事実なのかもしれない。悪く言えば友人以外はどうでもいいと極論。
他人がそうなっているとは思いたくはないのだが、やはり人間はそれでも自分や周りの人間の大事が一番なのである。
自分は聖人君子でもなければ正義の味方というわけでもないのだから仕方がない。
だけど、その後の台詞がいけなかった。
『その人間の名はホライゾン・アリアダストという』
こんな状況では聞きたくなかった名前であった。
『ホライゾン。十年前に私が事故に合わせ、大罪武装と化した子だ。───今は自動人形の体とP-o1sという名を持って武蔵の上で生活している』
梅組の誰もが目を見開き、現実に驚嘆するしかない。
『そしてその子の魂こそが───"嫉妬"の大罪武装"焦がれの全域"なんだよ』
ああ。
もう駄目だ。何もかもを破壊したくなるような衝動が胸の内で鼓動を打っている。
やはり、十年前に■しにいくべきだったか。
既に拳は握られている。
否。
そもそも自分の戦いは拳を握って戦うものではない。そも剣神なのだから、剣を使ってやらなきゃ意味がない。
ああそうだ。
失った物は尊い。なのに、この男はその失った物を弄ったというのか。
もう沸点を突破し、そして───
『今日、ホライゾンを見たよ……私に手を振ってくれた───手を、振ってくれたよ……』
一瞬で鎮静した。
地が出るくらい握りしめていた手はもう緩く開いているし、血走っていたであろう目は既に平常通りになってしまっているし、何時の間にか地面に亀裂を入れていた足には力が籠っていない。
……だから、俺はこの爺が嫌いなんだよぉ……。
最後まで悪人らしく振舞ってくれよなぁ……そうじゃなきゃ思いっきり憎めねぇじゃねぇか……。
だからこそ最悪だ。
最後の最後に親としての顔を見せられたら何も言えなくなる。
だからこそ、俺はトーリの疾走に付いて何も言わなかった。
……! トーリ君……!
急な彼の行動に最初に気付いたのは多分、彼の姉である葵喜美と密かに気にしていた熱田シュウを除けば恐らく向井鈴だろう。
視覚がない代わりに、最早進化していると言っても過言でもない聴覚で彼女はトーリ君がぼうっとした顔をしているが内心はかなり焦っている事も解っていた。
だから彼が駆け出したことについては本当のことを言えば驚いたわけではなかった。
だから驚いたのは別の事で。
トーリ君は走ったのはいいが、途中で立ち止まってしまったのだ。
何故なら目の前には後悔通りが広がっているのだから。
……駄目…な、の……?
彼がホライゾンが死んでから一度も通ったことがな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ