第二部
第二章 〜対連合軍〜
百三 〜重なる気持ち〜
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?」
「璃々ちゃんの事ですけどー。お兄さんを、どう呼ばせるおつもりですかー?」
風の言葉に、私も思考を巡らせる。
紫苑とはただならぬ仲にはなったが、所帯を持った訳ではない。
幼子に何かを強いる訳にはいかぬが、然りとて月以外の者から父と呼ばれるのには抵抗がある。
「今まで通りですわ。……ただ」
「ただ、何だ?」
紫苑は、私を見据えて、
「あの子はまだ小さいですから。……歳三様を、父親のように見てしまうかも知れません。口には出さずとも」
「……ふむ」
「その時は、黙って許してあげて欲しいのです。そうならないようには言って聞かせますが」
「……わかった」
そして。
「ご主人様……相変わらず、逞しいお身体ですね」
愛紗が、私の胸板を撫でる。
「もう、怪我の具合も良さそうですな。安堵しました」
疾風が、肩に頭を載せる。
「お兄さんは、何も変わりませんねー。安心したのですよ」
風が、そう言いながら唇を重ねてくる。
……必然のように、三人と臥所を共にする事となった。
拒否権などあろう筈もなく。
「このような戦乱の世、早く終わらせたいものです」
「……うむ。それは皆の願いだが……何故、それを今口にするのだ?」
私の問いかけに、愛紗は顔を赤くしながら、
「璃々のように、私も子を持ってみたくなりました。……無論、ご主人様のお子を」
その豊満な胸を、私に押しつけながら。
「愛紗、それは私とて変わらんぞ。ふふ、歳三殿のお子ならば、さぞかし強者でしょうな」
負けじと、疾風も私の腕に胸を押しつける。
「むー。風だってお兄さんの子なら欲しいのですよ。賢い子に育ててみせますよー」
空いた腕に、しがみつく風。
我が子か……いずれ、そのような日が来るであろうか。
つくづく家庭には縁のなかった私だ、想像もつかぬな。
「では、もう一度愛して下さいませ」
「愛紗。次は私の番だぞ」
「いえいえ、風だってまだまだお兄さんを感じたいのですよ」
どうやら、長い夜になりそうだ。
……明日に差し支えなければ良いが。
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