暁 〜小説投稿サイト〜
至誠一貫
第二部
第二章 〜対連合軍〜
百三 〜重なる気持ち〜
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ってやる。
「月が、詠を必要とせぬなどと、二度と口にするな。月が悲しむだけだ」
「……わかったわ」
 幾らか、気は晴れたようだな。
 少なくとも、口調からはもう棘が消えていた。


 その夜。
「さて、皆さん集まったようですねー」
 私の部屋に、風、疾風、愛紗、そして紫苑が顔を揃えていた。
「禀や彩(張コウ)らは、改めて話すとして」
「ご主人様。我らが何を言いたいか、当然おわかりでしょうな?」
 紫苑を覗く三人が、私に詰め寄る。
「……無論だ。言い訳はせぬ」
「紫苑も紫苑だ。歳三殿と我らの取り決め、知らぬ訳ではなかろう?」
 疾風に、紫苑は頷き返した。
「ええ」
「ならば、何故抜け駆けのような真似をしたのでしょうかー。事と次第によっては、許さないのです」
「……我らは、ご主人様のお身体を気遣って自制していたのだ。それに、今がどのような事態が、わからぬお前でもなかろう?」
「勿論よ、愛紗ちゃん」
「止せ。紫苑には何の落ち度もない」
「それは違いますわ。歳三様を誘ったのは、私の方ですから」
「……だが、手を出したのは事実だ」
「お待ちなされ、二人とも」
 互いに譲らぬ私と紫苑の間に、疾風が割って入る。
「どちらに責があるかなど、この際どうでも良い事です。互いの合意があっての事でしょうから」
「疾風ちゃんの言う通りですよ」
「兎に角、事の子細をお聞かせ願いたい」
「……相わかった」

 月の、思いも寄らぬ激白。
 父としての至らなさを痛感した事。
 全てを、包み隠さず話す事とした。
 疚しい事は何もないのだ。

 そして、紫苑もまた全てを語った。
 予てから、私に思いを寄せていた事。
 昨夜の出来事で、それが堰を切った事。
 皆を出し抜くつもりもなく、私が拒めば引き下がるつもりであった事。

 半刻は過ぎたであろうか、漸く私と紫苑は語り終えた。
「むー」
「うむむ……」
「むう……」
 三人は、腕組みをして考え込んでいる。
「紫苑。ご主人様との事、決して一時の過ちではない……それに相違ないのだな?」
「勿論よ。確かに私は璃々という娘がいる母親だけど、同時に女でもあるの。歳三様を慕う資格はある筈よ」
「お兄さんも、紫苑ちゃんに勢いだけで手を出したのではない、そう誓えますねー?」
「うむ」
「……ならば、此度だけは許しましょう。禀らにも、理解を得るよう努力される事が前提条件ですが」
 紫苑が、ホッとしたように胸を撫で下ろした。
「ありがとう、疾風ちゃん」
「その代わり、先ほど申した事が偽りであったなら……。いくら紫苑でも、斬る!」
「ええ、そうなっても恨みはしないわ。私も武人の端くれですもの」
「えーとですね、もう一つ条件があるのですよ」
「何かしら、風ちゃん
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