第一章
[2]次話
彼女の勘違い
板東奈々は同じ会社で働いている同じ歳の後輩の松本雄大と交際している、年齢は七の方が上だが奈々は高卒で入って六年目で雄大は大卒入社二年目だ、年齢は同じであるが勤務している時間は四年も違う。その年季が仕事の出来に影響している。
菜々は茶色の髪の毛を腰まで伸ばし小さめの楚々とした目と面長の顔に小さな唇を持っていて背は一七〇近くありグラドル並のスタイルだ、雄大は背は一七二位であり癖のある鳥の巣の様な黒い髪の毛と童顔の持ち主で色白だ、仕事で組んでいるうちに関係が出来て今では同棲している。
そんな中でだ、奈々はある夜夕食の後で雄大に言った。
「ねえちょっといい?」
「どうしたの?」
雄大は特に気兼ねしていない声で応えた、二人共今はラフな部屋着である。
「一体」
「あの、私今まで気付かなくて御免ね」
奈々は夕食の後片付けの後で謝ってきた。
「本当に」
「いや、気付かなかったって何を?」
「それで私も覚悟決めたから」
「決めた?」
「覚悟をね」
こう言うのだった。
「人の趣味はそれぞれで私もそのことはわかっているから」
「趣味?僕の趣味って」
そう言われて雄大は真剣に考えて言った。
「卓球にジョギングにスマホの乙女ゲームに怪談に」
「そういう趣味じゃなくて」
「じゃあどんな趣味?」
「これよ」
こう言ってだった。
奈々は懐からあるものを出してきた、それは何かというと。
まず鞭だった、そして蝋燭だった。そうしたものを出して言うのだった。
「夜はこっちでも楽しみましょう、縛りも勉強してきたわ」
「えっ、僕そっちの趣味ないよ」
そうしたものを見てだ、雄大は仰天して返した。
「全く」
「えっ、この前会社の集まりで飲んでいて」
奈々は雄大に鞭を持ったまま応えた。
「同期の人にマゾとか」
「そんなこと言ったかな」
雄大にとっては覚えのないことだった。
「飲んでいた時の与太話?」
「エスとかエムで言ったら」
「ああ、あれだね」
言われてわかった。
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