病室にて
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”?ならばおまえはそんなにも強いのか。神の如く?おまえの血は、それを受け継ぐ者はそんなにも強く、選ばれた存在だとでも言うのか?」
誰もその問いに応えない。尋ねている相手が誰なのか、問うているものが何なのかは皆、薄々分かっていた。その怒りの矛先も、その憎悪の銃口が向かう物も。
「何が“宇宙の摂理は弱肉強食、適者生存、優勝劣敗”だ。同じではないか・・!!」
「止めろ、止めるんだ、アルブレヒト。それ以上言えば不敬罪になる。此処には憲兵隊も詰めている」
その先に続く言葉がわかったのか、伯父が止めるように言うと、アルブレヒトは言葉を紡ぐのを止めた。握りしめられた伯父の武骨な手は、冷たい汗で濡れていた。
「・・・伯父上、一つ決めた事があります。私の後見人になって戴きたい。私はデューラー家を継ぎます。お願いします」
「…わかった」
アルブレヒトが頭を下げると、伯父は承諾した。一瞬、弟の方をチラリと見た。
その姿は、士官学校に、軍に入ることを決めた弟の姿と同じように見えた。
「ミュッケンベルガー准将閣下。有難うございます」
頭を上げ、アルブレヒトはそう言った。続柄ではなく、帝国軍内の階級で呼んだ。
そのことに、彼??グレゴール・フォン・ミュッケンベルガー??はこの甥の将来を少しだけ垣間見たような気がした。
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