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レーヴァティン
第二百六十一話 夜に語り合いその八

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「そしてだ」
「皆から嫌われるな」
「そのうえでどんどん人として落ちてな」
 努力をしないのならそうなる、現状維持ならまだいいが努力せず他にどうとか言ってばかりだと必然的にそうなる。
「やがてだ」
「人の底を割ってな」
「餓鬼になってだ」 
 そうなりというのだ。
「そしてだ」
「どんな教えでも誰でもな」
「救えない、地獄の亡者はまだ救える」
 彼等はというのだ。
「罪を自覚しているしな」
「地獄に落ちる様なことをしてもな」
「だが罪を自覚しているとだ」
 それならというのだ。
「そこからだ」
「救われるな」
「自分が救われたいと思ってな」
 そうしてというのだ。
「努力もすればな」
「救われるな」
「悪人正機か」 
 英雄は酒を飲みつつ久志に話した。
「悪人は何か」
「罪を自覚している人だな」
「浄土真宗の教えではな」
「そうなるな」
「そしてだ」
 そのうえでというのだ。
「悪人こそだ」
「救われるというのが浄土真宗の教えだったな」
「そうだ、しかしだ」
「餓鬼はな」
「善人ですらない」
「善人は普通に生きていてな」
「罪を自覚していないが」
「餓鬼はそうでもない」
 悪人でも善人でもないというのだ。
「堕ちきって人ですらなかうなった」
「とことん浅ましく卑しくなってな」
「本当の意味での恥も外聞も誇りもないな」
「そうした奴こそ天狗でプライドは高いがな」
「しかしだ」 
 それでもというのだ。
「本当の意味でのだ」
「そうしたものは持ってないな」
「それこそがだ」
「餓鬼だな」
「そうだ、だからもう餓鬼はな」
「救われないと思ってか」
「見捨てることだ」 
 それしかないというのだ。
「餓鬼道に堕ちて後は仏がな」
「救うか」
「それしかない、少なくとも俺はだ」
「救おうとはしないか」
「布施餓鬼もな」 
 これもというのだ。
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