第81話 準備はいいか
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隊の一部もヴァンフリート星域へと進出すると思われる。
彼らがダゴン星域に向かうには、アスターテ星域を動き回る第四四高速機動集団を燃料不足のまま追撃するか、一度イゼルローンから補給部隊を送ってもらってから行動するかの選択を迫られる。その選択に迷っている間に、一万五〇〇〇隻余の主力部隊がカプチェランカの制宙優位を確保し、地上部隊が地上を制圧する間、それを確保する。
「始まってしまえば忙しい話になるが、カプチェランカで苦闘する地上軍の為にも、諸君らの奮戦を期待したい。問題や懸念があるようなら言って欲しい。遠慮はいらない。なるべく早いうちに詰めておこう」
シトレの締めの言葉に、会議前に作戦案を理解している各部隊の幕僚達からは息が漏れる。イゼルローン攻略が失敗に終わってからまだ一年が経過していない。帝国側もこの前の攻略戦でいくらか戦力を失ったのか、遠征のような積極的な行動は控えている。それにカプチェランカの制宙優位が確保されれば、今後の辺境星域前面における戦局は同盟優位に動く。だが……
「第四四の次席幕僚のボロディンであります。帝国軍に近々の出動計画等はあるか、司令部の方では確認されておりますでしょうか?」
俺は手を上げ、マリネスク准将に指名されてから立ち上がって聞いた。モンティージャ中佐も相当慎重に調べているが、もし帝国側に大規模な出兵計画があれば、全てがおじゃんになる話だ。ここまでの説明でそれはないという前提で動いていることは分かっているが、本当にそれでいいのかという確認が必要だ。案の定、独立部隊の幕僚達からは苦笑が漏れる。その前提だから動くんだというのことも分からないで、コイツは次席幕僚をやっているのかという嘲笑だ。
「フェザーンの駐在武官部や情報部で確認している。帝国軍に作戦期間内における大規模出動計画の傾向は察知されていないし、今年の徴兵に関しても例年規模であると報告を受けている」
二度ばかり咳払いをした後で、一度シトレに視線を送ったマリネスクはそう応えた。つまらない質問はするなと言いたいのだろうが、もし計算外の増援があれば、最初に一撃を喰らうのは間違いなく第四四高速機動集団なのだ。
「もう一点。目標達成時における第四艦隊と第一〇艦隊の追加出動は確実ということでよろしいのでしょうか?」
これについても同じように嘲笑が漏れる。先程よりもそれは大きい。作戦が成功すれば戦果拡大の為に増援戦力が出るのは『当たり前』で、失敗すれば出ない。戦局によって流動的で、確実などとは言えないというのも理解できる。それは自明だからこそ作戦を立てているのだから、くだらない質問だと言われればそうだ。
「問題はない。統合作戦本部も、宇宙艦隊司令部も出動を約束している」
溜息交じりで応えるマリネスクに、俺は「あり
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