第81話 準備はいいか
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をいたくお気に入りいただけたようで何よりだ。前回いろいろ迷惑をかけたが、こちらこそよろしく頼む。ディディエ中将」
ミシミシと音が聞こえてきそうな固い握手が二人の間で交わされる。先の第四次イゼルローン攻略戦で、作戦指導の不始末から地上軍に要らぬ犠牲を出したことに対する、これが手打ちだった。ヤクザのような話だが、宇宙艦隊司令部も地上軍司令部も、麾下戦力間にわだかまりが残るにしても最小限にしたいという思惑もある。
故にシドニー=シトレが提出した今回の作戦に、地上軍もエル=ファシルで宇宙軍とある程度の協力関係を築けたディディエ中将を軍団司令官として送り込んできた。編制名簿が出た時点で、俺が手打ちの道化役をやらざるを得ないと理解せざるを得なかったが、両中将にここまでネタにされると後が面倒な気がしないでもない。
宇宙戦部隊のトップと地上戦部隊のトップがケジメをつけたので、出席者は三々五々それぞれに与えられた席に戻っていく。今回の作戦の指導部は第八艦隊の為、第八艦隊の幕僚達が議事進行を進めていく。第四四高速機動集団は、この場では宇宙戦部隊のナンバー二になるので会議場内でも比較的前の方に席が与えられているので、議事進行する第八艦隊の幕僚達の顔もはっきりとわかる。
艦隊副司令官ングウェニア少将、参謀長ラスールザーデ少将、副参謀長マリネスク准将……末席で目立たないように書類を読んで(いるふりをしてい)るヤンの姿もある。この世界の実父であるアントン=ボロディンが生きていたらと考えずにはいられないし、独立部隊でなく予定通り第四七高速機動集団が参加していたら……シトレを支えるのはボロディン家であると言わしめただろう。
そう感慨にふけっているうちに、マリネスク准将より作戦の骨子と戦略目標、個々の戦術目標に戦果評価、そして作戦を中断するべき状況説明が、理路整然と事細かく語られる。幕僚達がそういう性格なのかまでは分からないが、現場での流れに沿うよりも事前に準備を整えてから動くというのは、前線というよりやや後方の組織にありがちだ。なるほど、グレゴリー叔父がシトレとロボスを比して、統合作戦本部長向きだと評したのも頷ける。
「最終目標は四月一五日まで惑星カプチェランカに我が軍の完全勢力圏を形成・維持することにある」
以降予算承認が下り次第、交代で第四・第一〇両艦隊が前線に出張ってくることになっている。こうなればイゼルローンから駐留艦隊全艦一万五〇〇〇隻が出動してきても、数的優位を確保することができる。
必要となるのは電撃的な行動だ。エル=ファシル星域よりアスターテ星域に侵入する第四四高速機動集団は、星域内各星系を哨戒している小規模な哨戒隊と遭遇戦闘となる。それによって帝国軍の視点は一時的にアスターテ星域に拘束され、イゼルローンの駐留艦
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