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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第81話 準備はいいか
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の作戦に必要となる最重要物資が燃料であるのは明白だ。食糧や生活必需品は二〇日間程度で底をつくことはないが、今回必要とされるのは足の速さだ。最大巡航速度となれば、通常の倍近い燃料を消費することになる。さらに戦闘行動が加われば、その量は飛躍的に増大する。その為、完全勢力圏とは言い難いエル=ポルベニル星系まで巨大輸送艦が同行し、同地で航行しながら第四四高速機動集団全艦に燃料を補給することになる。

 行動計画草案を作った一人であるモンティージャ中佐の顔からは、いつも陽気なラテン人さは影を潜め、時折隠れて胃薬を飲んでいる。もし行動計画が洩れでもすれば、たかだか二五〇〇隻程度の高速機動集団などひとたまりもない戦力がイゼルローンから出てくるだろうし、アスターテ星域各星系情報に齟齬があれば、部隊にかかる日数が増大し、燃料切れで孤立することになりかねない。肩にかかる重圧は途轍もないものだ。

「いい気味だな」とは、いつもモンティージャ中佐に揶揄われる側のカステル中佐の談だが、そういう中佐も補給参謀としてやることは多い。特に機動集団全艦が一星系内で短時間にFASを行うには部隊各艦の能力が不足しているとして、帰還船団を護衛中に訓練を行うよう進言し、自ら計画も立てている。燃料の手配も配分も、彼の差配一つにかかっている以上、責任は重大だ。

 俺とファイフェルは交代交代で第八艦隊との連絡業務をこなしつつ、爺様やモンシャルマン参謀長と、アスターテ星域における部隊行動のシミュレーションを作戦開始日まで繰り返し行うことになる。作戦を中止せざるを得ない場合の逃走ルートを初めとして、考えうる全てのパターンを条文化して纏める。作戦評価基準も作成し、万が一司令部全滅となった場合でも部隊が動けるよう、第二・第三部隊の司令部も交えて、討議を続けることになった。





 一二月一〇日。

 ハイネセン出動一ケ月前。第四四高速機動集団の新戦闘序列と作戦行動計画書を持ち、第四四高速機動集団司令部全員で第八艦隊旗艦ヘクトルを訪問。そこで会議室を借り、本隊側の独立部隊各指揮官幕僚と顔を合わせる。同じ宇宙艦隊司令部にオフィスを持っているので、既にすれ違いで顔を合わせていた幕僚達もいたが、一同揃っての顔合わせは初めてだ。

 集結したのは、宇宙戦部隊として一個制式艦隊と一個高速機動集団、四個独立機動部隊の幕僚。戦闘序列順に。

第八艦隊       シドニー=シトレ中将      以下一万二四三三隻(内戦闘艦艇一万一二〇六隻)
第四四高速機動集団  アレクサンドル=ビュコック少将 以下  二五〇七隻(内戦闘艦艇二二〇六隻)
第三五三独立機動部隊 ドゥルーブ=シン准将      以下   六六七隻(内戦闘艦艇 六一三隻)
第三五九独立機動部隊 ブルーノ=パストーレ准将
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