第2部
ランシール
二人の距離
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て、地球のへその一部が崩れた可能性があったことを危惧していた。
「は、はい。私もユウリも言ってないですよ?」
「良かった……。神聖なる修行場が崩落の危険があるなんて知ったら、それこそ観光地として成り立たないですからね。どうせこの先も、ユウリさん以外に地球のへその奥まで到達できる人なんていないと思いますし、くれぐれも他言しないで下さい。ユウリさんにもあとでそう伝えてくれませんか?」
「わ、わかりました」
戸惑いながらも了承すると、私から離れたワーグナーさんはほっと胸を撫で下ろす仕草をした。
その動作ですら絵になるのだから、つい見とれてしまいそうになる。さっきも人形のように整った顔が耳元まで近づいたとき、私の胸はドキドキが収まらなかった。
「話は終わったのか? さっさと行くぞ」
「痛っ!!」
いつの間に話が終わったのか、私たちの目の前までやって来たユウリは、いきなり私の髪の毛を思いきり引っ張った。
「いきなり何するの!?」
思いの外強く引っ張られてつい声を上げたが、何故かユウリはいつになく不機嫌な顔をしている。
「お前が着ぐるみ男相手に惚けた顔してるからだ」
それだけ言うと、彼は一人ですたすたと行ってしまった。なんて理不尽な理由なんだろう。
「待ってよ、ユウリ!! あ、二人とも、お世話になりました!!」
「またいつでも寄ってください!」
「道中お気をつけて!」
二人に見送られながら、私とユウリは慌ただしくもランシールをあとにしたのだった。
余談だが、ランシールを出たあと、私たちはエドガンさんにもらったあの荷物を開けてみた。中身はというと……。
「なんか……滅茶苦茶見たことあるものばかりなんだけど……」
「あのジジイ、在庫処分品なんか持たせやがって」
ユウリの言うとおり、エドガンさんがくれたのは、昨日のお祭りの屋台で売っていた商品だった。
中には髪飾りなどの手作りアクセサリーや、売れ残りであろうジャムや香り袋、手編みの帽子や手袋などが入っていた。けれど、薬草詰め合わせセットなど実用的なものもあるので、全く要らないものでもない。
「まあまあ、せっかくくれたんだからいいじゃない。船に戻ったらヒックスさんたちにプレゼントしようよ」
「……ふん、そうだな」
そんなわけで、数日後船に戻った私たちは、待っていたヒックスさんたちにいろんな民芸品……いやエドガンさんたちからのお土産をプレゼントした。経緯はどうあれ、皆すごく喜んでくれたのは言うまでもない。
「次はどこへ行きます?」
お土産をもらってご機嫌な様子のヒックスさんに、ユウリはきっぱりと次の目的地を告げた。
「バハラタまで頼む」
そう、あのときの約束から、もうすぐ半年が経つ。
二人は元気にしているだろうか。半年ぶりの再会に、胸が
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