第二章
[8]前話
夫婦が家を出るとすぐに甥に言った。
「今日は宜しくな」
「叔父さんパチンコ行かないんだね」
「今日はな、じゃあお前は自分の部屋でゲームでもしてろ」
こう甥に言った。
「テレビでもスマホでもいいからな」
「そうしていいんだ」
「ああ、好きなだけな」
「勉強しなくていいの?お母さんいつも言うけれど」
「したいならしろ」
素っ気ない返事で答えた。
「お前がしたいならな」
「うん、じゃあ学校の宿題と予習復習してからゲームするね」
「しっかりしてるな」
「あとお庭でテニスの素振りもするから」
テニスを習っているのでこうも言うのだった。
「そうするね」
「じゃあ部屋で見ておいてやるな、庭でもな」
「付き合ってくれるんだ」
「お前に何かあったら俺が怒られるからな」
姉にというのだ。
「傍にいてやるさ、あと飯は適当なもんで適当に作るからな」
こちらの話もした。
「食えよ」
「うん、それじゃあね」
「ああ、じゃあ部屋に行こうな」
邦衛のというのだ、こうしてだった。
信夫は邦衛の宿題と予習復習やテニスの素振り、ゲームをパチンコ雑誌や攻略サイトを見てそうしてだった。
昼は自分が作って一緒に食べて後片付けもしてだった。
おやつも出してやった、そして五時過ぎに。
帰って来た姉にだ、こう聞かれた。
「何もなかった?」
「俺がパチンコ行けなかっただけだよ」
これが彼の返事だった。
「何もなかったよ」
「叔父さん凄く優しかったよ」
邦衛も笑って言ってきた。
「ちゃんとご飯も作ってくれたしね」
「そうなの」
「うん、だからね」
それでというのだ。
「僕叔父さんみなおしたよ、ちゃんとしたところあるんだね」
「当たり前だろ、パチンコをしてもな」
信夫は甥に笑って話した。
「やることはやらないとな」
「駄目だね」
「そうだよ、じゃあ姉ちゃんと義兄さんも帰ってきたし」
信夫は笑って話した。
「パチンコのゲームでもするか」
「行かないの?実際に」
姉は早速スマートフォンを出した弟に問うた。
「まだやってる時間でしょ」
「今日は勉強したことをゲームで試すよ」
「そうするの」
「それから実際にな」
本物のパチンコでというのだ。
「やるさ、だからな」
「今はなのね」
「ゲームするな、晩飯になったら呼んでくれよ」
「そうするわね」
姉は弟に応えた、そして実際に夕食が出来ると彼を呼んで皆でそれを食べた。そしてその時にあらためて今日のことを褒めたのだった。
パチンカスもたまには 完
2022・9・23
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