第二章
[8]前話
「駅前にお店置いてです」
「おう、繁盛してるらしいな」
大林も笑顔で応えた。
「ネットでも評判らしいな」
「今じゃ駅前の新しい名物になっています」
「それは何よりだ、しかし悪いな」
ここで大林は下田にカウンターの中か申し訳なさそうに言ってきた。
「お前にそのことはな」
「お店の場所はですか」
「教えていなかった、ここは人が多くてな」
自分の店がある場所はというのだ。
「それで意識してなかったからな」
「それで、ですか」
「お前にラーメンや接客は教えてもな」
このことはというのだ。
「場所のことはな」
「そうでしたか」
「しかし場所もな」
「はい、いいとですね」
「繁盛出来るんだ、じゃあこれからはな」
大林は愛弟子に笑顔で話した。
「駅前で頑張って俺を超えろよ」
「師匠をですか」
「ああ、弟子は師匠を超えるもんだ」
弟子に笑って話した。
「それが務めだからな、だからな」
「俺はですね」
「俺を超えろよ」
「そうなる様にします」
下田も約束した、そして今は師匠のラーメンとてつもなく美味いと感じるそれを食べたのであった。
下田の店は繁盛し続けた、その中で。
あの時のサラリーマン風の客がふらりと来た、そして彼のラーメンを食べて言った。
「前より美味いね」
「それはどうも」
「定年前にいいもの食べられたよ」
「そうですか」
「しがないサラリーマンだけれど女房とラーメンは好きでね」
それでというのだ。
「あんたにちょっと言ったけれどね」
「あの時ですね」
「繁盛してよかったよ、定年してからも時々来ていいかな」
「はい、是非」
下田は笑顔で応えた、そうしてだった。
彼にもラーメンを出し続けた、そうして繁盛する店の中で楽しくラーメンを作っていったのであった。
お店は場所も大事 完
2022・9・22
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