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レーヴァティン
第二百六十一話 夜に語り合いその三

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「あんまり酷い人ってことで」
「そういうことだね」
「悪事千里を走る」
 耕平はこの言葉も出した。
「それは餓鬼に堕ちる様でもや」
「伝わるんだね」
「そういうことや」
「それでおいら達もだね」
「その人のこと聞いてるんや」
「学校のことじゃなくても」
「ちょっとでも縁があるとな」
 それならというのだ。
「話は伝わるで」
「特にそうした行いはだね」
「犯罪やないが」
 耕平はそれでもと述べた。
「悪事と言うたらな」
「悪事だね」
「それもかなり卑しく浅ましいな」
「醜いね」
「そんな悪事はな」
「皆に伝わって」
「知るんや」 
 そうなるものだというのだ。
「ほんまにな」
「そういうことだね」
「確かにその人の行いは犯罪ではないです」
 謙二もそれはと述べた、そうしつつ唐揚げを食べる。柑橘類の汁を絞ってかけてさらに醤油をかけて食べている。
「しかしです」
「悪事です」
 順一はもみじおろしを入れたぽん酢でてっさを食べつつ応えた。
「紛れもなく」
「そうですね」
「誰も殺していませんが」
「何でもです」
 謙二は顔を顰めさせて話した。
「お財布を落としたとかいって」
「その人の振る舞いの一つですね」
「親戚の人にお金を借りて」
「そのまま返さない」
「ご存知でしたか」
「本当に有名な人なので」
 順一も顔を顰めさせて話す。
「ですから私もです」
「ご存知でしたか」
「はい、そのお金を返さない」
「それどころか生活に困り」
 働かないのなら必然的にそうなる、親の財産なり不労所得がないのならば働かないと鐘は手に入らない。
「サラ金にまで借りて」
「返せなくなって住んでいた団地の家賃も払えず」
「そして追い出され」 
 そうなってだ。
「後始末も人任せ」
「これはあまりにも浅ましい」
「そうした行いですね」
「身体を壊した叔父さんに殴ってやろうか」
「そう言うこともです」
 謙二は顔を顰めさせたまま言った。
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