第一章
[2]次話
何故自分を奇麗と言わないか
川神友希ははっきりした目とややホームベース型の顔に大きめの赤い微笑んだ形の唇を持っている。背は一六〇程でグラビアイドル並のスタイルだ。茶色にしている黒髪をマッシュルームの様なショートにしている。
彼女はいつも奇麗とか可愛いとか言われると否定する、それでだ。
高校のクラスメイト達はある時彼女にこう言った。
「謙虚なのはいいけれどね」
「幾ら何でも過ぎるよ」
「友希奇麗よ」
「可愛いわよ」
「そう？全然思わないわよ」
自分ではとだ、友希はこう返した。黒と金のブレザーと黒ネクタイに赤のスカートそれに白いブラウスの制服からも胸がはっきり出ている。
「私は」
「いや、そう言うけえどね」
「友希本当に美人だから」
「普通にそう言えるわ」
「スタイルだっていいわよ」
「ううん、そうかしら」
友人達にこう言うばかりだった、それでも友希は明るく社交的で気配りが出来ていてこうしたことを言われても人気はあった。
それで友人も多く一緒に遊ぶことも常だった、そんな中で。
この日は友希の家に何人か集まってパジャマパーティーをしていた、お菓子やジュースを飲んで食べてだった。
お喋りにも興じていた、そんな中で。
皆がいる友希の部屋の扉にノックする音が聞こえた、友希がどうぞと言うと。
黒い見事な光沢のある髪の毛を腰まで伸ばし穏やかできらきらした目でやや面長の顔に艶やかな紅の唇と雪の様に白い肌と。
一六六程の背で友希を遥かに凌駕するスタイルの女性が来た、女性は二十歳位でシンプルな緑のズボンと白いブラウスという格好だったが。
オーラさえ出ていた、友希のクラスメイト達は彼女を見ただけで呆然となったが。
女性は友希に鳥のさえずりの様な高い奇麗な声で言ってきた。
「友希ちゃん、もう十一時だから出来るだけね」
「うん、静かによね」
「ご近所もおられるから」
それでというのだ。
「そうしてね」
「わかったわ」
友希もそれならと応えた、そうしてだった。
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