第一章
[2]次話
現代版ほら吹き男爵
福本円加は嘘は言わない、だが。
その話はだ、殆どの人が鵜呑みにしなかった。
「いや、それないでしょ」
「そんなのある筈ないわよ」
「海で三十メートルの鮫いたって」
「そんな鮫今いないでしょ」
「それがいたのよ」
円加は通っている高校のクラスで友人達に真顔で話した。茶色の癖のある髪の毛を短くしていて大きな丸い目はあどけなく口は小さい。大きな耳が目立っていて背は一五五位で胸がかなり大きく制服のスカートから出ている脚も奇麗だ。制服は淡い赤と白のタートンチェックのミニスカートで上は青のブレザーと白のブラウスそれに黒のネクタイというものだ。
「本当にね」
「ホオジロザメでも十メートルかそこいらでしょ」
「何で三十メートルよ」
「オーストラリアに行った時に見たって言うけれど」
「流石にないわよ」
「あんたいつもお話盛り過ぎなのよ」
友人の一人が眉を顰めさせて必死の顔で言う円加に告げた。
「要するにね」
「盛ってるって」
「そうよ、ホラよ」
円加の話はというのだ。
「この前甲子園でどれだけお客さんいるって言ったのよ」
「一塁側で十万はね」
円加は真顔で答えた。
「驚いたわ」
「甲子園でもそんなに入らないわよ」
「全体で五万か六万でしょ」
「それが一塁側で十万って」
「どれだけ多いのよ」
「それがいたのよ、一塁側にいたからわかるわ」
まさにそこにというのだ。
「十万はね」
「だから入らないって」
「甲子園自体にね」
「それが一塁側だけって」
「幾ら阪神ファンが多くてもないわよ」
「本当なのよ」
円加は必死に言う、だが。
殆ど誰もその和を鵜呑みにしなかった、皆彼女が嘘を言っていないことはわかっていたがそれでもこう言った。
「あの娘ホラ吹きなのよね」
「それも桁外れに」
「嘘じゃなくても」
「ホラ吹くからね」
「お話聞く時は注意しないとね」
こう話していた、兎角だ。
円加は自分の話を大きく言った、それで今回もだった。
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