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レーヴァティン
第二百六十話 条約を結びその十七

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「死んでっちゃ」
「遂に身体も餓鬼になって」
「何も生み出さず何もない世界にいてっちゃ」
 餓鬼道、そこにというのだ。
「餓えと渇きに苦しみ続けるっちゃ」
「そうなると」
「本当に地獄よりもっちゃ」
「行きたくない世界ね」
「うちはそう思ったっちゃ、今」
「そうなのね、確かにね」
 留奈はここで酒を飲んでまた言った。
「そう言われるとね」
「うちの言う通りっちゃか」
「そう思えるわ、だって地獄って色々あるでしょ」
「責め苦の為にっちゃが」
「それで鬼もいて」
 地獄の獄卒達である、当然彼等も亡者達を責める。
「生きものもいるっちゃ」
「地獄に落ちた悪人達を責めるにしても」
「いるっちゃ」
「それもかなりね」
「しかも餓えや渇きはっちゃ」
 餓鬼に常にあるそれはというと。
「聞かないっちゃ」
「地獄ではね」
「ただ責められて殺されて」
 そしてその都度蘇りまた責められ殺されるのだ。
「それだけっちゃ」
「餓えがあるとは聞かないわね」
「そして浅ましく卑しいか」
「そうした世界でもないっちゃ」
「そう思うとね」
「地獄の方がっちゃ」
 むしろというのだ。
「ましっちゃ」
「餓鬼道よりも」
「そうっちゃ」
「そうなるわね」
「そうっちゃ、だからっちゃ」
「餓鬼になる方が酷いわね」
「地獄の方がいいっちゃ」
 ましだというのだ。
「それに餓鬼になった人の生前を見れば」  
「心がそうなった時点で」
「誰もが匙を投げる状態っちゃからな」
「助けようと思わないわね」
「布施餓鬼をする人は相当な人っちゃ」
 餓鬼になった輩を見てするからだ。
「そうっちゃ」
「それじゃあね」
「少なくともうちはしないっちゃ」 
 布施餓鬼はというのだ。禅宗の修行僧も食事の時七粒程の米を餓鬼達に対しての布施として供えている。
「絶対に」
「浅ましい人だって知ってるから?」
「だからっちゃ」
 その為にというのだ。
「もうっちゃ」
「しないのね」
「絶対にっちゃ」
 それこそというのだ。
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