間章 過去編
第55話 妖精の翼
[1/6]
[8]前話 [1]次 最後
カムラの里。人口は竜人族を含めておよそ150人。
そこは、豊かな水量を湛える大河のほとりにあり、門の外には青々とした木々の並ぶ森が広がっている。
カムラの里で産出される『たたら製鉄』という名の鉄は、異国の商人も舌を巻くほどの仕上がりであり、その良質な鋼と風光明媚な景観で外部に知られている。
他にも、うさ団子、米、炭、焼き栗、傘、お面、顔料などの名産がある。
アレン・イーグルは、生誕からこのカムラの里で暮らしており、『ウツシ』という師匠の元で、幼少期からハンターとしての鍛錬を積んできた。
そのかいもあってか、アレンは若干12歳という若さでハンターになり、その二年後の14歳で上位ハンターに、17歳の時にはマスターハンターへと昇格を果たす。
カムラの里以外にも多くの村落が存在し、その村々にそれぞれハンターが存在している。そんなハンターたちは、それぞれの村落にある『集会所』から仕事を請け負い、日々狩猟に当たっている。
そんな各集会所、引いてはハンターをまとめる組織が、『ハンターズギルド』と呼ばれる組織であり、それぞれの地域に複数存在している。
このカムラの里の集会所は、ユクモ村にある集会所と共に、『ロックラック』というギルドの支部に当たる。
そんなロックラックであるが、同様規模のハンターズギルドがいくつか存在しており、それら全てを統括しているのが『ギルド総本部』と呼ばれる場所である。
しかし、このギルド総本部は、特に各ハンターズギルドに対して大きな力を持っていることはなく、各ハンターズギルドとの懸け橋程度を行っている機関であり、ハンターズギルドを支配している、などということはない。
だが、そんなギルド総本部が有する、唯一の重要な事柄がある。それは、マスターハンターの承認と把握、そして序列の決定である。
カムラの里が存在する世界の総人口数はおよそ100万人。ドラゴンやモンスターが生態系のトップに君臨していることもあり、人類の繁殖はこの程度に留まっている。
また、その中でも、ハンターとして登録が為されているのはおよそ1万人。その中の大半が下位ハンターが占めており、人数はおよそ9000人。上位ハンターが1000人ほどとなっている。つまり、マスターハンターと呼ばれるハンターは指で数えるほどしか存在しない。人数にして十数名程度。
その十数名程度のハンターである『マスターハンター』は、各里に名前が轟くほどの勇名を誇っており、その強さも圧倒的である。その証拠に、マスターハンターの名を冠するものは、少なくとも一つの村落において『英雄』と呼称されていることが多く、アレンに関しても、カムラの里を襲う『百竜夜行』を解決せしめたと同時に、ギルド総本部からマスターハンターへの昇格を果たした。
さて、そんなマスターハンターであるが、十数名しかいないなかでも、実績と
[8]前話 [1]次 最後
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ