第10章 アルバレス帝国編
第54話 のべつ幕なし
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もゆっくりと目を覚まし、次第にその目に涙を浮かべる。
「な、なんで…」
「まだ…倒れねえってのか…っ!」
「バ、化け物…っ!」
レヴィ、グレイ、ウルティアが酷く狼狽したように声を発する。スプリガン12との戦闘に加え、バルファルクとの前哨戦で、皆はすでにほぼすべての魔力を使い果たしていた。残っている魔力と言えば、それぞれがあと精々1,2発の魔法を放つのがやっとであった。
「…止めを…させると思うか?」
「どう…かしら…」
ギルダーツの言葉に、ウルが小さく返答して見せる。バルファルクは身体を大きくあげたかと思うと、ゆっくりとエルフマンへと視線を移す。それに気づいたミラとリサーナが、身を震わせながら地面へと伏しているエルフマンを守るようにして抱きしめる。
「ま、まさか…」
バルファルクは消え入るような声で、口を開いた。その声を聴き、皆は目を見開いて警戒して見せる。
「まさか、この俺が…人間…ごと…き……に………」
バルファルクは語尾に向けて更に声小さくして呟いたかと思うと、持ち上げていた身体から一気に力を抜き、倒れこむ。
そうして倒れこんだバルファルクを暫く見ていた皆であったが、ミラがわなわなと震えだし、皆のいる方へと顔を向けながら言葉を発した。
「ねえ…勝ったん…だよね…。エルフマンが…勝ったんだよね…っ」
ミラは大粒の涙を流しながら、唇を噛みしめる。そんなミラの様子を見て、皆は苦悶の表情を浮かべ、同様に目尻に涙を浮かばせる。
「ああ、勝ったんだ…。エルフマンは…バルファルクに…勝った!」
ラクサスの頬に、一筋の涙が伝う。…それと同時に、エルフマンの右足、その足先がゆっくりと黒い灰になって消え始める。
「エ、エルフ兄ちゃん!!」
「う、うそっ!行っちゃいやっ!!エルフマン!!!」
2人はその様相を見て、酷く狼狽し、エルフマンに向けて声を発する。だが、無情にも黒き灰はゆっくりと足先から膝下へ向けて進行して見せる。
…中には、そんな様相を見ていられないと言った様子で目を反らしたり、地面へと視線を移しているものもいた。
マグノリアの街に、悲痛の叫びが響き渡る。何十人もの泣き声とも悲鳴ともとれるその声は天高く響き渡る。
…そんなときであった。エルフマンの左首に刻まれた紋章が…ゆっくりと光を生み出したのは…。
首都クロッカスにおいて、アクノロギアとの戦闘を繰り広げていたアレンを、玉座の間から見守っていたヒスイ達は、アクノロギアがクロッカスから遠ざかり、それをアレンが追いかけるという姿を見て、目を見開いていた。
だが、ヒスイ達がなぜアクノロギアがここを去ったのかを理解できるはずもなく、ただただ呆然と小さくなっていくアクノロギアとアレンの姿を見送るようにして見つめていた。
そんな折であった、一人の衛兵が玉座の間に焦ったよう
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