第三十二章 寝そべって、組んだ両手を枕に心の星を見上げる
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ば凄いことだったんだね」
自分が知る地球とは違うが、とにかく地球が存在したというそれ自体が奇跡と思うし、その奇跡があったからこそ、人類が生まれて、進化した。超次元量子コンピュータによる仮想世界なるものが作り出され、そして、
「わたしたちは、そこからこの現実世界へと、この地に、いまこうして立っている」
しみじみと奇跡を実感していると、どの部分から話を聞いていたのかカズミが楽しげな顔で乗ってきた。
「なあ、あたしたちだけじゃなくてさあ、仮想世界の人間を、いや、仮想世界そのものを、すべてこっちに持ってきてさ、みんなでこっちの世界で暮らすとか、面白くない?」
「至垂だけ、メダカの水槽なみに狭くした仮想世界に押し込めてな」
治奈も話に参加し、カズミは「鑑賞魚かよ」と楽しそうに笑った。
「技術的には、可能です」
というヴァイスの言葉に、カズミたち三人は飛び上がって驚いた。
「ほ、本当かよ!」
「もともと、行く末に相互往来を考えての、転造技術なのですから。アサキさんたちがこちらへきたのは、仮想世界側の達成条件を考えると奇跡的というだけで、こちらの側からすれば、単に陽子配列式を元に転写復元させただけ」
「身も蓋もねえいい方だな」
ぼそり突っ込むカズミ。
「ただし、転造で物質化しようにも、その素材が限られています。この惑星に資源はなく、恒星間移動の手段もないため、これ以上の物質化は不可能でしょう」
「くそ、至垂のアホがこっちくるから」
「あなたたち二人も同じということを、お忘れなく」
ヴァイスにさらりいわれて、カズミは、
「す、好きできたわけじゃねえやい!」
まともな二の句がつげず、声荒らげてごまかすしかなかった。
「そもそも、このような滅び掛けた宇宙に、何億もの人間が仮想世界から出てきたところで、ここでなにをすればよいのです? やはりまずは、なにをおいても、この宇宙を救う、すべてはそれからなのです。そのためには、神になること」
「紙に……」
と、カズミがボケるが、ヴァイスは完全に無視して赤毛の少女へと、尋ねた。
「アサキさん、あなたは、どんな神になりたいのですか?」
急に振られて、アサキはびっくり慌ててしまう。
「え、わ、わたし? 何故そんなことを。……神だとか、そんなものに、別になりたくなんか、ないな。わたしは、力なんか欲しいとは思わない。平和な日々を送れれば、それだけで幸せだ」
「でも、現実はこんなですよ。ならば、平和な日々を送るためには、やはり神の力を手に入れるか、または、宇宙が消滅した方がよいということになりますけど」
「消滅は、困るけど……」
問われても困ってしまう。
だったら
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