第123話『夏祭り』
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れた。その勇気に免じて、今回は許してあげようと思えたのだ。
「謝って良かっただろ?」
「はい……!」
大地の言葉に、優菜は清々しい笑顔でそう答えた。目に溜まった涙を拭って、ようやく振り出しに戻る。
ずっと心に残っていたわだかまりも解消され、これでようやく気持ち良く夏祭りに向かえそうだ。
「とりあえず上がっていってよ」
「はい!」
晴登に誘導されて、大地と優菜は一度晴登の部屋へと集まるのだった。
──その一方で、その光景を陰から覗いていた者たちがいた。
「智乃ちゃんのお兄さんのお友達、美男美女ばっかだね……!」
「どうやって仲良くなったんだろ……」
「それは私も知りたいよ」
その正体は智乃とその友達2人だ。彼女たちは玄関が騒がしさに惹かれて、リビングの扉の隙間から覗き込んでいたのである。
「というか、あの人泣いてなかった?」
「修羅場?」
とはいえ、見た光景はあまり気持ちの良いものではなく、『晴登と結月が美少女に泣きながら謝られている』と表面上は解釈できる。
ここで仮に修羅場だとすると、その背景には『優菜が晴登を奪おうとした』という設定が一番しっくり来る。しかし、
「そんな話お兄ちゃんから聞いてない……隠してたんだ」
智乃は以前に結月との関係を根掘り葉掘り訊いたことがあったが、あの時にはまだ話してもらっていない内容があったようだ。
その事実がちょっぴり悔しくて智乃は頬を膨らませるのだった。
*
メンバーが揃ったので、ようやく夏祭りに出発した一行。当然、智乃グループも率いている。
ちなみに今回の夏祭りは急に予定が決まったせいで、浴衣の準備は間に合わず、全員が私服での参戦だ。結月の浴衣姿を見られなかったことは残念だが、それは来年のお楽しみということにしておこう。
「わぁ……王都のお祭りとは雰囲気が違っていいね!」
「オート? そりゃ地名か?」
「あ、えっと、結月が元々いた所だよ! ね?」
「う、うん、そうそう!」
うっかり口を滑らせたが結月のフォローをしつつ、晴登は辺りを見回してみる。
場所は風香が言ったように隣町の公園。特訓していた時の静かな風景とは打って変わって、屋台などが立ち並び、日が沈みかけた空の暗さに負けない明るさがそこら中を席巻していた。人もそれなりに多いが、公園が大きいのでいい感じの密度である。迷子になることはないだろう。
「それじゃあ仕切り直して、夏祭り楽しむぞ〜!」
「「おー!!」」
大地の掛け声にみんなが乗っかる。
夏祭りの最後には花火が打ち上がるので、それまではグループに分かれて自由行動、時間になっ
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