ぶっ壊したい
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をここまで連れてきたりしないし」
真司はカードデッキを回収しながら苦笑した。
「俺の目的はただ一つ。こんな、聖杯戦争だなんてバカみたいな戦いを止めること。それだけだよ」
「はあ? 何それ」
真司の言葉に、アカネは嫌悪感を露わにした。
「せっかく何でも願いが叶うのに、それを辞めさせようだなんて馬鹿みたいじゃん」
「……じゃあ、君の願いは何なのさ」
むっとなった真司は、アカネに問いただした。
アカネは静かに立ち上がり、窓際へ移動する。窓から見える見滝原の景色を眺める彼女は、静かに告げた。
「……い」
「へ?」
ほとんど聞き取れない、
だが、真司が耳を傾けたタイミングで、アカネは怒鳴り散らした。
「ぶっ壊したいの! この世界を……全部!」
アカネは思い切りアパートの壁を叩く。
だが、白くひ弱な彼女の拳では、たとえ老朽化したアパートであっても傷一つ付けることはできない。
だが、アカネは続ける。
「何もかも……私の想い通りにならないこの世界を全部」
「思い通りにならないって……!」
「外は怖いし、中は狭いし、願い叶えるのは面倒だし、トレギアは勝手にどこかに行くし!」
だんだんとアカネの声が大きくなっていく。
「おばちゃんは気安く話しかけてくるし、犬は怖いし管理人は睨んでくるし! こんなの嫌だから、壊すんだよ!」
一度叫びきったアカネは、ぐったりと肩から力を抜いた。
「トレギアが現れた時は嬉しかった……! これで、私の怪獣たちに世界を壊してもらえる……!」
「何だよそれ……ただの我儘じゃないか」
真司は頭が痛くなった。
同時に、脳裏には別の___見滝原ではないデスゲームが思い出された。
同じく、思い通りにならない世界を何度も壊し続けたデスゲーム。
「いくら自分にとって都合が悪いからって……それじゃ、本当にゲームと同じじゃないか! この世界は、お前のものじゃないんだぞ!」
「うっさい!」
アカネは真司を突き飛ばし、そのまま駆けだしていく。
「あ、待って!」
真司は慌てて、その後を追いかけていった。
アパートを出て、陽が沈んだ夜の街を走っていく。
だが、アパートを出てすぐに真司を迎えたのは。
「おい、何だアレ!?」
突然聞こえてきた、誰かの一声。
夜空の遥か上空。真司とアカネがつられて空を見上げれば、静かな夜空にオレンジの光が見えた。
「何だ……? あれ」
真司が目を凝らす。
星々を隠す、強烈な光。それは、だんだん大きくなっていく。
それは、発光体が近づいていることであって……
「あ、危ない!」
真司は慌ててアカネを
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