第2部
ランシール
巷ではこれをデートと呼ぶ
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「これで最後の町での宣伝も終わったな」
「結構時間かかったね」
「でも、お二人のおかげで、いろんな人にチラシを配ることが出来ました。これならお祭りに沢山人が来てくれますよ」
へそにゃんの言うとおり、あれから順調にチラシ配りをしお祭りの宣伝をすることが出来た。
ここ最後の町でも、特に(ユウリが)問題を起こすことなく最後のチラシも配り切り、へそにゃんは大満足のようだ。
見上げると空はすっかり赤く染まっており、日が沈むのも時間の問題だった。
「ではボクはこれからランシールに戻ってお祭りの準備をしてきます。お祭りの時間まではあと二時間位だと思いますので、それまでに神殿の方に戻ってきてくださいね」
そういうと、へそにゃんは最後のキメラの翼を取りだし、一足先にランシールへと帰っていった。
一方急に取り残された私たちは、これからどうしたらいいか迷っていた。お祭りまであと二時間、随分と中途半端な時間だ。
「どうする? ランシールに戻る?」
すると、私が声を発したタイミングで、突如お腹が鳴り出した。一瞬の静寂の後、ユウリの失笑が聞こえてくる。
「……お前の腹は戻りたくないって言ってるぞ」
あああ、私のお腹のバカ!!
「……ええと、じゃあ、美味しいものが食べたいです」
「なら、あそこはどうだ?」
口許を緩めたままのユウリが見つけたのは、すぐ近くにあるおしゃれな外観のレストランだった。店の前には色とりどりの花が咲いた鉢植えが置かれており、それだけで店主の趣味のよさが感じ取れる。
「うん、あそこがいい!」
私は否定する理由もないのですぐに頷く。
早速中に入ると、そこは可愛らしい雰囲気の店内だった。木目調のテーブルとイスと、派手すぎないチェック柄のテーブルクロスとカーテンの配色が絶妙で、女の子なら一度は入ってみたくなるような内装だ。
「いらっしゃいませー!! 二名様ですか?」
「はっ、はい!!」
元気な声とともに店員さんが現れ、私たちを席へと案内する。エプロン姿の店員さんまで可愛らしく、笑顔を向けられる度になぜか同性の私ですら緊張してしまう。
けれどそんな状況でも動じないユウリは、席に座った途端、早速店員さんにお勧めのメニューなどを尋ね始めた。
うう、なんだか落ち着かない……。
今まで船の食堂や、虫まで食用にしてしまうような未開の地での食事を経験してきたので、急にこんなおしゃれなレストランにいる自分に違和感を覚えてしまう。
そんなそわそわした気分の中、ユウリと店員さんのやり取りに目をやると、
「……だそうだ。お前もそれでいいか?」
「え!? あっ、うん!!」
急に話を振られ、ろくに聞いていないのに思わずうなずいてしまった。店員さんは明朗な返事で注文を受け取ると、すぐに厨房へと向かって行った。まあ、
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