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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第79話 第四一回帰還事業団統括会議
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思っているのだ」
 怒っているというよりは、答えは分かっていても言わざるを得ないといった抗議をするのはモンテイユ氏だ。
「いや、素晴らしい。是非とも早急に実行をお願いしたい」
 手を叩いて手放しでほめるのはロムスキー医師だ。まぁ、この人は単純に早く故郷に帰れるということに喜んでいるだけだろう。もちろんサンフォード氏は、事態についていけずぼんやりとしていて判断に困っているという感じだ。
 それから他の列席者からもやいのやいのと声が上がるが、俺は机の上にある珈琲に口を付けて聞き流している。五分もしただろうか、喧騒はゆっくりと収まっていき、次に困惑の空気が会議に充満する。

「あの、ボロディン少佐」
 その空気を察してか、サンフォード氏の隣に座っている事務官が俺に問いかけた。勿論聞きたいことは分かっている。
「その、ヤン少佐は、どちらに行かれたのですか? お姿が見えないようですが……」
「あぁ彼は第八艦隊の作戦参謀ですので、たぶん司令部に帰ったのだと思いますよ?」
「か、帰った?」
「えぇ、彼も忙しいところをわざわざ来てくれました。きっと彼なりにエル=ファシルのことが心配だったのだと思いますよ。でももしかしたら失望しているかもしれませんね」

 俺は自分の発言が間違っていると分かっていながらも、精いっぱい口を歪ませて奴らに言った。

「まったく身動きしない帰還事業団という団体にね」


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