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ボロディンJr奮戦記〜ある銀河の戦いの記録〜
第79話 第四一回帰還事業団統括会議
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巻き込んで対応したことに怒るだろうが、だったら出兵をロボスにでも任せればいいとはねのける覚悟で応じるしかない。
「この作戦においてお前をエル=ファシルに連れて行くようなことは、俺が職を賭して阻止する。作戦におけるお前へのマスコミの取材も一切断る。サインを数枚書いてくれるくらいでいい。その上で俺に手を貸してくれ」
「出来ますか? そんなこと」
「別に断ってもいい。お前に無理強いしているのは分かっている。俺だってやりたくない。そもそも元凶はそちらの上司だ。責任取れと殴り込んでもいい。そう言えばここは第八艦隊司令部か」
「作戦において帰還事業団の存在は無視してもいいと思います。あくまでも星域の安定性を確保するために出動するという名目であれば、帝国軍もある程度誤魔化せますし、世間は納得するのではないですか?」
「もしそうなら第四四高速機動集団はこの作戦だけでなく、以降においてもエル=ファシルに駐留することになり、それは前線配備戦力の恒常的な増大を招く」

 強力な大部隊を前線配備することは一義的には悪いことではない。侵略にも海賊にも対応する手数が多い方がいいに決まっている。だが部隊を前線配備するということは、後方支援施設を設営する必要が出てくる。駐留させるとなれば将兵家族の居住施設などの後背施設も作らなければならない。

 なぜ同盟軍がハイネセンに大規模な機動戦力を一極集中配備しているか。他にも理由がないわけではないが、一番なのは資材・資金・経済規模で後背地を維持する能力があるのがハイネセンしかないということだ。マーロヴィアに巨大な管区防衛司令部があったのは、将来的な辺境開拓において重要な拠点となりうると一〇〇年前の社会情勢が許してくれたからであり、エル=ファシルに大部隊駐留が認められるなら、ドーリア・エルゴン・ファイアザードといった他の星域の各有人星系も手を上げるだろう。はっきり言ってキリがないし、金が続かない。

 そして最大の難点は戦力分散だ。それこそイゼルローンのような空間的制約と防衛力と支援施設がある場所でもない限り、艦隊規模の戦力を張り付けることはどうしたって不可能だ。そうなれば侵略戦力の規模が容易に上回る。兵は無駄に死ぬことになる。

「帝国軍を過度に刺激することなく、エル=ファシルに戦力を動かす理由としての護衛任務だ。護衛する船団のいない護衛任務に高速集団規模の戦力が動いたら、あとで軍会計検査局がなんて言うかわかるか?」

 方便としては通じるかもしれないが、横領可能性案件としてカステル中佐あたりが引っ張られることになるだろう。幸いというか同盟末期のような事後承諾や譲渡契約書みたいな話が通じるほどには落ちぶれていない。

「喋るのは俺に任せろ。口先だけはどうやら買ってもらえているらしいからな」
「ホントに約束できま
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