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フェアリーテイルに最強のハンターがきたようです
第10章 アルバレス帝国編
第48話 変異個体
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見守りながら結界の安定を図る。まずは発動が優先であると判断し、詠唱を破棄して発動した。そのため、結界が些少の揺らぎを持っていたため、後術詠唱を用いて結界を確固たるものとしていたのだ。それを終えた時点で、分身体アレンは分けられた魔力の半分、つまりは5%を消費していた。
「アレン様…」
ヒスイは、魔力の放出と発動を終えたアレンの右手を掴み、その身体を手繰り寄せる。結界を発動、そしてその後に何らかの作業をしている時は、ぐっと我慢していたが、それが終わったことを理解すると、一目散にアレンへと抱き着いたのだ。
だが、そんなヒスイの幸せな時間はすぐに終わりを迎えることになる。アレンはゆっくりとヒスイを引きはがすと、優しく語り掛けた。
「申し訳ありません…ヒスイ王女…相手が相手だけに、分身を解かせていただきます」
「えっ…お、お待ちください…」
分身体とは言え、アレンが遠ざかってしまう…。先ほどのバルファルクの恐怖と、アレンにくっついていたいという気持ちが、ヒスイの中で渦巻き、アレンを制止する言葉を放ってしまった。独りよがりな欲求であることはわかっていた。だが、それでもヒスイはアレンに傍にいて欲しいという気持ちを隠さなかった。アレンは、そんなヒスイの気持ちを汲んでか知らずか、ヒスイの頭に優しく手をのせ、ゆっくりと撫でる。
「あっ///」
ヒスイはその優しい感触を確かめながら、顔全体を真っ赤に染上げる。
「大丈夫です…この結界がヒスイ王女を、クロッカスを守ります…。そして、私が必ずや、バルファルクを仕留めて見せましょう…」
分身体のアレンはそう言って、真っ白い煙に包まれたかと思うと、一瞬で掻き消える。分身を解いたことを察したヒスイは、些少の不安を胸に抱きながらも、本体のアレンへと視線を向ける。結界に加え、先ほどよりも高い位置で佇んでいるためか、その姿ははっきりとは見えない。
ヒスイは、祈るようにして両の指を絡め、胸の前で組んだ。
「…どうか…ご武運を…」

ウルとウルティアは、首都クロッカスへとあともう少しと言った地点で、とんでもない波動を感じ取る。それは、かつてアレンとバルファルクが衝突を果たした時とは比べ物にならないほどの力の波動であった。
「う、うそでしょ…」
「これ…本当にバルファルクなの…」
ウルとウルティアは、酷く狼狽した様子を見せる。バルファルクの力は理解している。一介の魔導士では全く歯が立たないことも、アレンですら油断ならない相手であることも。だが、それでも、ドラゴンレイドの戦いが終わったのち、旧評議院が掲げた『三天黒龍には劣る』という結論と、自分たちが実際に見て感じた者から、バルファルクの力をそう判断していた。だが、この力の波動は、その判断を悉く崩してくる。そう、まるで…。
「アクノロギアと…変わらないじゃない…」

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