第2部
ランシール
史上初の到達者
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すからね」
「……ぐっ」
へそにゃんの宿代請求宣言に、流石のユウリも言葉をつまらせる。
それからしばらくチラシを配っていくうちに、噂を聞きつけたのか、徐々に私たちのところに人が集まってきた。
「ねえねえ、お祭りあるの? うわあ、面白そう! 行ってみたい!」
「お兄さんいくつ? やだぁ、超タイプ〜!」
「ねえねえ、なんでこの人猫のぬいぐるみ着てるのー?」
色んな人の声を聞くうちに、気づけば私たちの周りには人だかりが出来ていた。中にはたまたま通りかかった行商人らしき姿もあり、興味津々でチラシをもらっていた。
……あ、そういえば、ルカに頼まれてたことがあったんだ。
私は行商人や明らかに冒険者だとわかる人には、チラシを配るついでにルカの町のことを話した。大抵は話し半分で聞いている人が大半だったが、中には未開拓の土地で町を作ると言う発想に同調する人もいた。実際に行くかどうかはわからないが、ある程度知名度を上げることには成功したようだ。
そんなこんなでたくさんの町の人に宣伝をした結果、いつの間にかこの町で配る分のチラシはなくなっていた。
「あー、楽しかった! もう次の町に行く?」
「お前……。俺がおとなしくしているからって、調子のいいことばっかりベラベラ喋りやがって……。後で覚えとけよ」
何のことだろう、と私は思い返してみる。
「実は『アリアハンの勇者です』とか、『盗賊退治や町を襲った魔物を退治しました』とか町の人に言ってたこと?」
「違う。そういうのはむしろどんどん広めて構わん」
あ、うん。ユウリならきっとそう言うよね。じゃあ何だろう?
「俺が地球のへそからなかなか戻ってこなかったと言ったことだ」
「えー? でも事実じゃない」
地球のへそに到達したのだから、当然周囲の人々には必ずと言っていいほど尋ねられた。嘘を言っていると思われたくないので、なるべく事細かに伝えていたのだが、それが却って裏目に出てしまったようだ。
「それだとまるで苦戦してたみたいじゃないか! あの小うるさい仮面どもが邪魔してたから時間がかかっただけで! 地球のへそをクリアすることくらい、俺は全然余裕だったんだ!」
「いや、それも含めて試練だから……」
「それにあの仮面を壊したあと、壁がひび割れ始めたんだぞ。なんとか脱出できたから良かったものの、もう少しで生き埋めになるところだったんだからな!?」
「それって完全にユウリの自己責任じゃ……」
私は本人に聞こえないよう小さく呟いた。
「ちょっと待ってください! 生き埋めになるところだったって、地球のへそはどうなったんです?」
愛くるしい顔のままのへそにゃんが、切羽詰まった声でユウリに問い詰める。どうやら今の話を聞いていたようだ。
「俺が地球のへそを離れてすぐに、奥の方から何かが崩
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