第2部
ランシール
史上初の到達者
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始まってすぐに、地球のへそを到達した初の冒険者として、ステージ上でコメントを言って頂こうと思います」
その言葉に、愕然とするユウリ。
「なんだと!? それを早く言え! 今から内容を考えないと行けないだろ!!」
「す、すみません!!」
いや、きっとユウリならその場で聞かれてもすぐにコメントなんて出ると思うけどなあ。
「なら早速チラシを配るぞ!! 早く仕度しろ!!」
時間がないと焦ったのか、ユウリは突然その場に立ち上がり、私とへそにゃんに向かって急かすように叫んだ。
「はっ、はい!!」
へそにゃんもつい反射的に反応したのか、元気よく返事をすると、すぐにチラシを持って立ち上がった。
「何ボサッとしてるんだ、鈍足!! 早く行くぞ!!」
ユウリにぴしゃりと言われ、仕方なく私も腰を上げる。エドガンさんたちに貢献するのはいいのだが、ユウリに高圧的な態度を取られるのはやっぱり好きじゃない。
「皆さん、気をつけて行ってきてください」
「あ、はい!行ってきます」
エドガンさんに見送られたら、行かないわけには行かない。私は渋々ユウリたちのあとについて行った。
「では、行きますよ」
へそにゃんがキメラの翼を使用したとたん、あっという間に別の町へ到着したことに、私は改めて感動を覚える。
「やっぱり便利だね、キメラの翼って」
「何を今さら言ってるんだ」
「でも一般庶民にとっては、生活面でもすごく助かってますよね」
にべもなくいい放つユウリに対し、必死にフォローするへそにゃん。どうやらいち早く空気を読むタイプらしい。
とにもかくにも、私たちは早速チラシ配りを行うことになった。
町の人は皆ランシールでお祭りが行われることに最初疑問を抱いていたが、私がユウリを紹介すると、皆物珍しそうな顔で興味を持ってくれた。
「へえ、君が冒険者かい? 人は見かけによらないね」
ある中年男性は、ユウリを一目見てそう答えた。するとそれが癇に触ったのか、ユウリは急に眦を上げる。
「おい貴様。勇者である俺に対して、随分な物言いだな」
端から見れば言いがかりもいいところである。そもそも今は鎧も剣も持っておらず、へそにゃんから借りた普通の町の青年の格好をしている。だから男性がそう言うのは尤もなのだが、ユウリは今にも呪文を唱えようとしていた。
「待ってユウリ、落ち着いて!! 今は剣を持ってないんだから、誤解されても当然だよ!!」
私の言葉に、ぴたりと動きを止めるユウリ。
「……そう言えばそうだったな」
対する男性と言えば、今しがたまで殺気を放っていたユウリに少なからず恐怖を覚えたようで、すっかり声を発しなくなってしまった。
「ダメですよユウリさん! お祭りに行きたくなるようにしていただかないと、今度失敗したら宿代と食事代払ってもらいま
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