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俺様勇者と武闘家日記
第2部
ランシール
史上初の到達者
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たないうちに眠り込んでしまった。
 それから私は翌朝まで、目を開けることはなかった。目が覚めたときにはすでにユウリの姿はなく、窓の外を見てみると、早速剣の稽古をしている彼の姿が目に入った。
「すごいなあ。もうあんなに動けるなんて」
 私はといえば、昨日受けた傷は治っているものの、体を酷使したからか未だ全身が思うように動かない。体も泥だらけのまま寝てしまったので、出来ることなら先に体を洗いたかった。
 後でこっそり水浴びでもしようかと思いつき、エドガンさんに川のある場所を聞こうかと寝室を出ようとしたときだ。
「あっ、ミオさん。おはようございます」
 すると、ちょうど扉の前を通りかかったへそにゃんと鉢合わせした。と言うか、こんな早朝でも着ぐるみを着ていることに驚いた。
「お、おはようございます。もうお仕事ですか?」
「はは……。そんなもんです」
 私がそう言うと、へそにゃんは苦笑いをした。明らかに男性の声なので、一晩経っても未だに聞き慣れない。
「ちょうど良かった。今お風呂を沸かしたんですが、入っていきます?」
「えっ!? お風呂があるんですか!?」
「ええ。以前は沢山の冒険者さんが訪れたそうですからね。長期間滞在できるように昔エドガンさんが神殿を一部改修したみたいですよ」
「本当ですか!? じゃあ、お言葉に甘えて頂いてもいいですか?」
 冒険者のために神殿にお風呂まで作るなんて、随分思いきったことをするものだ。今の私にとっては願ったり叶ったりだが。
「もちろん。浴場はここを突き当たって左に曲がった奥にあります。今タオルと着替えをお持ちしましたので、良ければ使ってください」
「うわあ、ありがとうございます!!」
 至れり尽くせりのご厚意に、私は何度も頭を下げた。早速寝室に戻り、着替えを取りに行く。
「ユウリさんにも声をかけようと思ってるんですが、まだ寝てます?」
「ユウリなら外で剣の稽古をしてますよ。教えときましょうか?」
「いえ、他に尋ねたいこともあるので大丈夫ですよ。では、失礼します」
 そう言って大きな猫の頭が大袈裟に傾く。お辞儀をしているのだろうが、猫の着ぐるみがやるとなんだかほほえましく見える。
 それにしても、ユウリに尋ねたいことってなんだろう?
 まあ、それはともかく、今すべきことは自分の体を綺麗にすることだ。ユウリのことはへそにゃんに任せ、私は急いで浴場へと向かったのだった。



「地球のへそ初到達者記念イベント?」
 おそらく二度と聞くことがないであろうその催し物の名前に、私とユウリは揃って訝しげな顔をした。
 お風呂に入って綺麗さっぱりになった私とユウリは、着ていた服をへそにゃんに預けて洗濯をしてもらい、今は彼に用意してもらった、代わりの服を借りて着ている。どうやら近所の人からの借り
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