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lineage もうひとつの物語
冒険者
アリ穴四階part5
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と移行する。

「アーニャちゃん、どう考える?」

「ランドルさん達の探索してた場所、モンスターに襲われた場所を書き込んでみたんですが、階段の反対側へと誘導されているように思えるんです」

地図を手渡されたウォレスは通ってきた通路を辿り考える。

「通路自体が曲がりくねってるからわかりにくかったが、こうやって見るとたしかに階段から離れる方向へと誘導されてるな」

ウォレスは地図を睨みながらどうやって危機を脱するか考えを巡らす。

「通路であのデカブツと対峙するのは避けたいがそうも言ってられんか」

「卵?」

アレンが何かを見つけたようでしゃがみ込みながら放った言葉に思考が一旦中断される。

「卵じゃと!?」

ガンドが足早に近付きウォレスもそれに続く。
そこには人間の頭部くらいの大きさで薄い膜に覆われ中にはアリの幼体が一体浮遊している。

「これは卵じゃ。間違いない。」

「なんてことだ。初の発見だぞ。持って帰ればとんでもないことになるぞ!」

興奮するウォレスの言葉を聞きながらサミエルは何かひっかかりを覚えた。

サミエルは新しい場所へ行く場合徹底的に調べてから赴くようにしている。
今回もその例に漏れずアリのダンジョンへ来る前にある論文を読んでいたのだ。
それは【ジャイアントアントの生態に関する考察】というタイトルであった。
通常の昆虫であるアリとモンスターであるジャイアントアントの生態を比べてみたもので、未知の部分は多々あるもののその殆どに差異が見られないという内容だった。
更にジャイアントアントは古い文献には存在が確認されておらずウッドベック地方が砂漠化してから出現したモンスターだということだ。
突然変異から生まれたモンスターなのかはたまた人為的に作られたのかそれはわからないが突然歴史に出てきたモンスターであることには変わりがないようだ。
考察の中ではモンスターと昆虫の生態が似すぎているため昆虫を巨大化、凶暴化させたのがジャイアントアントではないだろうかと書かれていた。
そして最後に綴られていたのは
『ジャイアントアントも頂点に君臨する女王が居て地中奥深くで産卵しているのではないか。』
とあったのを思い出した。
それが本当ならばこのダンジョンにも女王が居てこの通路の先に居るのではないか。

「ウォレスさん!この先に女王がいるのではないでしょうか」

今まで見なかった卵が見つかったのがその証拠で我々は女王の餌として誘導されているのではないかと思い至った。

「我々は女王の餌として誘い込まれてるかもしれません」

ウォレス達が驚きに目を見開いていると

「後ろからお客さん!それも大勢きてる!突破は不可能よ!」

エレナがそう叫び瞬時に全員戦闘体制へ移行す
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